高知県議会 > 2020-03-04 >
03月04日-04号

  • 債権放棄 議会報告(/)
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  1. 高知県議会 2020-03-04
    03月04日-04号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 2年  2月 定例会(第352回)-----------------------------------        令和2年3月4日(水曜日) 開議第4日-----------------------------------出席議員       1番  土森正一君       2番  上田貢太郎君       3番  今城誠司君       4番  金岡佳時君       5番  下村勝幸君       6番  田中 徹君       7番  土居 央君       8番  野町雅樹君       9番  浜田豪太君       10番  横山文人君       11番  西内隆純君       12番  加藤 漠君       13番  西内 健君       14番  弘田兼一君       15番  明神健夫君       16番  依光晃一郎君       17番  梶原大介君       18番  桑名龍吾君       19番  森田英二君       20番  三石文隆君       21番  上治堂司君       22番  山崎正恭君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       29番  大野辰哉君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        岩城孝章君  総務部長       君塚明宏君  危機管理部長     堀田幸雄君  健康政策部長     鎌倉昭浩君  地域福祉部長     福留利也君  文化生活スポーツ部長 橋口欣二君  産業振興推進部長   井上浩之君  中山間振興・交通部長 川村雅計君  商工労働部長     近藤雅宏君  観光振興部長     吉村 大君  農業振興部長     西岡幸生君  林業振興・環境部長  川村竜哉君  水産振興部長     田中宏治君  土木部長       村田重雄君  会計管理者      中村智砂君  公営企業局長     北村 強君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  原  哲君  公安委員長職務代理者 西山彰一君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   麻岡誠司君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       弘田 均君  事務局次長      行宗昭一君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     織田勝博君  議事課長補佐     飯田志保君  主幹         春井真美君  主査         宮脇 涼君-----------------------------------議事日程(第4号)   令和2年3月4日午前10時開議第1 第1号 令和2年度高知県一般会計予算 第2号 令和2年度高知県収入証紙等管理特別会計予算 第3号 令和2年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第4号 令和2年度高知県旅費集中管理特別会計予算 第5号 令和2年度高知県用品等調達特別会計予算 第6号 令和2年度高知県会計事務集中管理特別会計予算 第7号 令和2年度高知県県債管理特別会計予算 第8号 令和2年度高知県土地取得事業特別会計予算 第9号 令和2年度高知県国民健康保険事業特別会計予算 第10号 令和2年度高知県災害救助基金特別会計予算 第11号 令和2年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算 第12号 令和2年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第13号 令和2年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計予算 第14号 令和2年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第15号 令和2年度高知県県営林事業特別会計予算 第16号 令和2年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第17号 令和2年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第18号 令和2年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第19号 令和2年度高知県高等学校等奨学金特別会計予算 第20号 令和2年度高知県流域下水道事業会計予算 第21号 令和2年度高知県電気事業会計予算 第22号 令和2年度高知県工業用水道事業会計予算 第23号 令和2年度高知県病院事業会計予算 第24号 令和元年度高知県一般会計補正予算 第25号 令和元年度高知県収入証紙等管理特別会計補正予算 第26号 令和元年度高知県用品等調達特別会計補正予算 第27号 令和元年度高知県会計事務集中管理特別会計補正予算 第28号 令和元年度高知県県債管理特別会計補正予算 第29号 令和元年度高知県国民健康保険事業特別会計補正予算 第30号 令和元年度高知県災害救助基金特別会計補正予算 第31号 令和元年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算 第32号 令和元年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第33号 令和元年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第34号 令和元年度高知県農業改良資金助成事業特別会計補正予算 第35号 令和元年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第36号 令和元年度高知県流域下水道事業特別会計補正予算 第37号 令和元年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第38号 令和元年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算 第39号 令和元年度高知県病院事業会計補正予算 第40号 知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例議案 第41号 高知県無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準を定める条例議案 第42号 高知県犯罪被害者等支援条例議案 第43号 高知県個人情報保護条例の一部を改正する条例議案 第44号 職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例議案 第45号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第46号 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例議案 第47号 議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例議案 第48号 高知県高圧ガス保安法関係手数料徴収条例等の一部を改正する条例議案 第49号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第50号 高知県後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第51号 ふぐ取扱い条例の一部を改正する条例議案 第52号 高知県動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第53号 高知県食品衛生法施行条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県公立大学法人に係る評価委員会及び重要な財産に関する条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県立県民体育館の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県立紙産業技術センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県漁港管理条例及び高知県漁港区域内における行為の規制に関する条例の一部を改正する条例議案 第58号 高知県浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例議案 第59号 高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案 第60号 高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案 第61号 高知県営住宅の設置及び管理に関する条例及び高知県特定公共賃貸住宅の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第62号 高知県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例議案 第63号 公立学校の教育職員の給与その他の勤務条件の特別措置に関する条例の一部を改正する条例議案 第64号 高知県警察手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第65号 高知県よさこいピック高知記念基金条例を廃止する条例議案 第66号 高知県が当事者である仲裁の申立てに関する議案 第67号 公平委員会の事務の受託の廃止に関する議案 第68号 公平委員会の事務の受託の廃止に関する議案 第69号 権利の放棄に関する議案 第70号 県が行う高知県防災行政無線システム再整備事業に対する市町村の負担に関する議案 第71号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第72号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第73号 和食ダム本体建設工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 議発第1号 高知県歯と口の健康づくり条例の一部を改正する条例議案第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(桑名龍吾君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(桑名龍吾君) 御報告いたします。 公安委員長古谷純代さんから、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員西山彰一君を職務代理者として出席させたい旨の届け出がありました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(桑名龍吾君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和2年度高知県一般会計予算」から第73号「和食ダム本体建設工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで及び議発第1号「高知県歯と口の健康づくり条例の一部を改正する条例議案」、以上74件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 9番浜田豪太君。   (9番浜田豪太君登壇) ◆9番(浜田豪太君) おはようございます。自由民主党の浜田豪太でございます。議長のお許しをいただきましたので、質問させていただきます。 初めに、就職氷河期世代への支援について伺います。 私は、昨年の2月定例会の一般質問におきまして7040問題、そして9月定例会で8050問題について質問いたしました。今では、多くの県民の皆様がこの問題について認識されているのではないかと推察いたします。7040、8050問題とは、70代もしくは80代の無職の親と、40代または50代の非正規や無職で独身の子供が同居し、生活困窮で共倒れ寸前にある状況のことであります。また、その中には子供がひきこもり状態という方も多く、今後親の高齢化による新たな問題の発生が予想されております。 そこで、このような社会問題が発生している現状について質問させていただきます。1つ目は、バブル崩壊後の失われた20年と呼ばれる長い経済停滞の時代に就職時期が重なり、希望の職につけないまま非正規やアルバイト、または無職となってしまった1970年から1980年代中ごろに生まれた方で、就職氷河期世代ロスジェネ世代とも呼ばれている方々への支援についてであります。 私は、1974年生まれの就職氷河期世代であり、私の高校時代の1991年から1993年にかけてバブル経済が崩壊し、失われた20年が始まりました。それを典型的にあらわしたのが株価であります。1989年12月29日に日経平均先物が3万8,957円の史上最高値を記録した後、長期にわたり下落し、リーマンショック後の2008年10月28日には、最高値の5分の1以下の水準となる6,994円にまで落ち込みました。 内閣府は、就職氷河期世代を平成5年から平成16年ごろに卒業期を迎えた世代と定義すると、その人口規模は2018年時点で約1,700万人とのことであります。これは我が国の人口動態上も非常に大きな人口の塊であり、その中には団塊ジュニア世代が含まれております。戦後の第1次ベビーブーム世代である団塊の世代、そしてその子供たちである団塊ジュニア世代が第2次ベビーブーム世代と言われています。この流れを見れば、団塊ジュニア世代による第3次ベビーブームが起こっていても不思議ではありませんが、第3次ベビーブームは起きませんでした。 誤解のないように申しますが、私は、戦前の産めよ、ふやせよということが必要だと申しているわけではありません。子供を産む産まないは、夫婦間、パートナー間、家族間の問題であります。私は、本県の最大の課題である人口減少の要因として、失われた20年が無関係ではなく、それらをしっかりと認識し、早急に就職氷河期世代への支援を実行しなければならないと考えます。 こうした中、昨年6月に政府は、経済財政運営と改革の基本方針2019において、就職氷河期世代支援プログラムを盛り込み、本格的な対応に乗り出しました。このプログラムでは支援対象として、正規雇用を希望していながら不本意に非正規雇用で働く者、就業を希望しながらさまざまな事情により求職活動をしていない長期無業者、社会とのつながりをつくり、社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする者など、100万人程度を見込んでおります。3年間の取り組みにより、現状よりもよい処遇、そもそも働くことや社会参加を促す中で、同世代の正規雇用者については30万人ふやすことを目標としております。 そして、政府は、令和2年度予算案の全世代型社会保障の構築の中に、バブル崩壊後の不況期に就職難だった就職氷河期世代への支援に、前年度当初予算比23.3%増の603億円を盛り込んでおります。ハローワークにおける相談窓口の設置や、専門担当者による就職相談から職場定着までの一貫した伴走型支援、ひきこもりや生活困窮者など社会的に孤立しやすい方に積極的に手を差し伸べるアウトリーチ支援が盛り込まれるなど、具体的な取り組みが示されております。 本県におきましても、今議会の知事の提案説明にて、就職氷河期世代への支援に向けて、来年度に高知労働局と県、業界団体、支援団体などで構成するプラットフォームを立ち上げるとのことでありました。 そこで、就職氷河期世代の中で、非正規雇用や不安定就労状態を余儀なくされている方々に対して、それらの支援策を実行することの意義について濱田知事の御所見をお伺いいたします。 また、厚生労働省は、就職氷河期世代の就労支援策の一つとして就職氷河期世代の正規職員募集を行い、採用予定人数10人に対し、その応募者が1,934人であり、倍率は190倍超とのことでありました。なお、その受験資格は、1970年4月2日から1985年4月1日までに生まれ、正社員としての経験が過去1年間なく、過去5年間でも通算1年以下である人が対象とのことであります。そして、兵庫県宝塚市も同様に、就職氷河期世代を対象とした事務職員を募集したところ、600倍の倍率があったと大きく報道されるなど、国と地方の各所で支援の輪が広がろうとしております。 知事の提案説明の中で、本県も就職氷河期世代を対象とした来年度の県職員採用試験を行いたいとのお話でありましたが、具体的にどのような形で採用し、その方々に対してどのようなことを期待しているのか、総務部長に御所見をお伺いいたします。 次に、就職氷河期世代を含めましたひきこもり者及び御家族の支援について質問いたします。 昨年、内閣府の40歳から64歳までを対象にした調査により、ひきこもり状態にある人が約61万3,000人になると公表されました。平成27年の15歳から39歳を対象とした調査では、約54万1,000人との推計も出ており、これらの調査を合わせますと、15歳から64歳までのひきこもり状態にある方は、全国に115万人以上いると推測されることになります。 そして、昨年5月には川崎市、6月には東京都で、極めて痛ましい事件が起こりました。厚生労働省では、平成30年度から生活困窮者自立支援制度との連携を強化し、訪問支援等の取り組みを含めた手厚い支援を充実させるとともに、ひきこもり地域支援センターバックアップ機能等の強化を図っております。 本県におきましても、ひきこもり者とその御家族からの相談に応じ、適切な関係機関から成る連絡会の開催による連携強化、ひきこもりに関する普及啓発等の情報発信を行うために、精神保健福祉センター内にひきこもり地域支援センターを設置して対応いただいております。そして来年度には、新たにひきこもり実態把握調査の実施や、アウトリーチ支援員の配置による生活困窮者自立相談支援機関の体制の強化が予定されております。 私は、先月15日に、KHJ全国ひきこもり家族会連合会理事であるジャーナリストの池上正樹さんによる、ひきこもり8050問題という、ひきこもりに関する普及啓発講演会に参加しました。ひきこもり当事者、その御家族、民生委員など多数が参加される中、ひきこもりの背景は多様であり、実態調査で推計される115万人には115万通りの要因と困り事があり、社会に安心を得られず自宅などに退避をし、自殺などの自死ではなく、生き続けるための選択肢として引きこもっていることなど、ひきこもり問題の現状と課題など、具体的な実例を挙げながら御講演くださいました。 池上さんは、ひきこもり者に対して、自立やひきこもりといった言葉は、今の自分を否定されるイメージを持ってしまうために、使ってはいけない言葉であり、ひきこもりの反対語は、自立ではなく、つながりであることを訴えられました。一例として、ある社会福祉協議会の職員さんが、ひきこもり者と話をする中でコーヒーが好きだと知り、その町のコーヒーショップを全て一緒に回り、その後その中で一番気に入ったお店でそのひきこもり者が働くことになったという例を挙げられておりました。 このような成功例は、誰にでもできることではないと思います。とにかく粘り強くつながりをつくっていくことが必要でありますし、また一方でその社協の方は、昼間からコーヒーショップに行って働いていないと周囲に誤解が生じるのではと、気が気ではなかったとの話もされました。このように、実際にひきこもり当事者に接して支援される方の育成とフォロー、そして行政を含めた社会全体の寛容さが、ひきこもり支援には不可欠であります。 この講演会を通じて、私が最も心に残った言葉があります。それは、昨年6月にありました元農水事務次官の長男殺害事件に対する、関西地方の当事者会と家族会、計23グループで構成する、さかいハッタツ友の会の石橋代表が公表した声明文であります。 「団塊世代の両親は、右肩上がりの昭和の時代に生きてきたから、頑張れば結果が出た時代だった。でも僕らがいま生きているのは、頑張っても結果が出ない時代。社会がまだ昭和の価値観を引きずったままだから、結果が出ない人は頑張っていないとみなし、自分の子をつぶしてるのに気づいてない親が多い」。 この言葉に対して、よい悪いとか、正しい正しくないといった評価は、皆様それぞれお考えがあると思います。ただ、周囲の期待に応えなければいけないや、頑張らなければいけないという価値観にとらわれてしまい孤立し、自宅などに退避してひきこもり状態にある方が、日本国内で少なくとも約115万人、県内でも15歳から64歳までで約6,000人であると推測されております。どの年代でも、何歳からでも、誰もがひきこもりになる可能性があります。だからこそ、この問題に対して早期の支援体制の構築が必要であります。 社会全体として、ひきこもり問題への理解を深め、いかに就労させるか、どうやって自立させるかではなく、どのようにして、ひきこもり当事者のQOLを向上させることができるかを考える必要があります。 そこで、濱田知事のひきこもり問題についての現状認識と、ひきこもり当事者及び御家族に対する支援に向けた御所見をお伺いいたします。 また、県の令和2年度一般会計当初予算案では、ひきこもり支援関連予算として2億900万円を盛り込んでいただいております。その中には、ひきこもり相談体制の強化に関して、当事者や御家族等の相談に対応する、ひきこもりピアサポートセンターが新設されます。このひきこもりピアサポートセンターの運営は、県内の家族会に委託されます。 ひきこもり問題を考える場合、ひきこもり当事者とのつながりを構築するために最も大切なことは、御家族をいかに支援するかであります。そのためにも、親や御家族の悩みを聞いてあげる人と、その場所を確保することが必要不可欠であります。 これまで、引きこもる子供の存在を知られたくないとの思いから、周囲にはその存在を隠して普通の家庭を演じてこられた方や、子供に普通を求めてしまうことで苦しんでこられた方などにとりまして、ひきこもりピアサポートセンターの存在は、挫折や孤立を経験した方でなければわからないことを共感することができる、貴重な居場所になります。 同居する親や家族自身が人生に幸せを感じることができるようになることが、ひきこもり当事者にとりましても、生きる意欲につながるのではないでしょうか。 そこで、このたび、ひきこもりピアサポートセンターが新設されることの意義とセンターの果たす役割につきまして地域福祉部長の御所見をお伺いいたします。 次に、学校におけるICT環境整備の推進について質問いたします。現在、ICTを初めとしてインターネット等の通信技術や、AIの急速な技術革新など、社会状況が大きくデジタル化している中、次世代を担う子供たちがそれらの技術を活用することによって学力を向上させる取り組みが進められております。学校におけるICTを活用した学習活動は、ICTの特性や強みを生かすことにより学びの質を向上させるものであり、児童生徒が将来迎えるデジタル化社会の中で生きる力を育む上で、重要なものとなっております。 このため、新学習指導要領では、情報活用能力を学習の基盤となる資質・能力として育成していくこと、また、各学校においてコンピューターや情報通信ネットワークなどのICT環境を整備し、これらを適切に活用した学習活動の充実に配慮することが明記されました。しかしながら、学校におけるICT活用の有効性や必要性に対する認識は各自治体ごとに異なるため、ICT環境の整備状況は我が国が目標とする水準に達していないことなどから、児童生徒が十分にICTを活用した学習活動を行うことができていない状況にあります。 昨年12月、文部科学省国立教育政策研究所より、OECD生徒の学習到達度調査2018年調査のポイントが公表されました。OECDの生徒の学習到達度調査は、義務教育修了段階の15歳児を対象に、2000年から3年ごとに、読解力、数学的リテラシー科学的リテラシーの3分野で実施されており、2018年調査は読解力が中心分野でありました。 前回の2015年調査からはコンピューター使用型調査に移行され、今回は79の国と地域から約60万人が参加し、日本は無作為抽出された高校1年相当学年の6,100人が参加されました。その結果、日本の平均点は、数学的リテラシーが6位、科学的リテラシーが5位であるのに対し、読解力は15位でありました。前々回の4位、前回の8位から大幅に下がっております。私は、この読解力の平均得点の低下の要因分析の中で、コンピューター画面上での長文読解のなれが指摘されていることに注目しました。 今回の読解力分野のコンピューター使用型調査の特徴として、これまでよりもオンライン上の多様な形式を用いた課題文が活用され、全小問245題のうち173題が、コンピューター使用型調査用に開発された新規問題が出題されたとのことであります。そして、今回の調査の中のICT活用調査の、学校・学校外でのデジタル機器の利用状況についての結果では、日本は、学校の授業、国語、数学、理科におけるデジタル機器の利用時間が短く、OECD加盟国中、最下位でありました。また、そもそもデジタル機器を利用しないと答えた生徒の割合は約80%に及び、OECD加盟国中最多でありました。 これまで、学校といえば、先生が黒板にチョークで書いたものを、同じ時間、同じ教室で生徒がノートに書き写し、学んでいく、一斉学習が一般的でありました。しかしながら、これからは急激な社会環境の変化に合わせた授業、児童生徒一人一人に応じたきめ細かな指導方法を充実させていくことが必要であります。その意味においても、さきのOECDの調査などの結果を踏まえて、本県におきましても、学校現場におけるICT環境の整備が急務であると考えます。 私は、本年と昨年の2年間、総務委員会に所属し、この4月から本格稼働する、ICTを活用した郡部校での遠隔補習システムなどを視察してきました。既に、試行的に補習配信が行われている梼原高校では、遠隔補習を受けた5人が、センター試験利用入試などで国公立大学に合格したとの報道もあり、これからさらなる成果が期待されております。 このように、学校におけるICT環境の整備の効果が生まれている中で、教育委員会は来年度予算案で、新たにGIGAスクール構想の推進に取り組むとのことであります。 このGIGAスクール構想とは、昨年12月5日に閣議決定されました、学校における高速大容量のネットワーク環境の整備を推進するとともに、特に義務教育段階において、令和5年度までに、全学年の児童生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち、十分に活用できる環境を実現するための全体像を描いたものであります。 さらに、安倍総理も昨年11月13日に開催された経済財政諮問会議において、パソコンが1人当たり1台となることが当然だ、国家意思として明確に示すことが重要だと発言されております。そして、来年度には小学校新学習指導要領の全面実施、再来年度には中学校新学習指導要領の全面実施が控えており、計画的に学習環境整備も行わなければなりません。 こうしたGIGAスクール構想の実現に向けた一連の施策により、学校のICT環境が大きく前進することと考えますが、整備したICTをどのように活用していくのかということが何よりも重要であります。 そこで、来年度から始まる小学校のプログラミング教育への活用など、GIGAスクール構想の実現によって本県の教育をどのように変えていこうとされているのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 次に、ネット・ゲーム依存症対策について質問します。現在、未成年者のインターネットやゲームへの依存を防ぐことを目的として18歳未満の使用制限に踏み込んだ、都道府県初となる仮称ネット・ゲーム依存症対策条例案が、香川県議会2月定例会に上程されております。 この条例案では、依存防止に向けた県や学校、保護者の責務を規定しており、家庭内での使用ルールの基準として、18歳未満のコンピューターゲームの使用は1日平日60分、休日は90分までとする、スマートフォンの使用を中学生以下は午後9時、高校生などは午後10時以降は控える、射幸性が高いオンラインゲームの課金システムは事業者の自主的な規制をという点などが明示されております。 この条例の素案がまとまった1月20日、報道各社の取材に応じられた、香川県議会ネット・ゲーム依存症対策に関する条例検討委員会、大山一郎委員長は、メッセージを発表されました。 その中では、ネットやコンピューターゲームの過剰な利用は、学力や体力の低下、慢性的な睡眠障害、注意力・記憶力の低下、視力障害や頭痛を引き起こすとされ、2019年5月に世界保健機関、WHOがゲーム障害を疾病と認定するなど、国内外で大きな社会問題となっていると指摘されました。そして、厚生労働省研究班が2018年8月に公表した調査結果についても言及され、病的なインターネット依存が疑われる中高生が93万人に上るとの推計を紹介された上で、低年齢化が進行していると、危機感をあらわにされました。また、地元紙などによる世論調査で、香川県民の8割がゲーム依存症対策が必要と考えているとする結果を示された上で、この条例は、ネット・ゲーム依存症対策の推進について基本理念を定め、県や学校、保護者の責務などを明らかにするとともに、依存症対策を総合的かつ計画的に推進する目的があると強調されたそうであります。 当初、この条例案は、制限対象をオンラインゲームに限らず、スマートフォンやゲームなどの利用時間を制限としていたために、現在では日常生活に欠かせないスマートフォンの使用にかかわる話題とあって、インターネット上を中心に賛否両論が噴出し、この問題に対して、対象がコンピューターゲームのみに変更されました。 毎日新聞によりますと、この条例での規制について、ネット依存外来を設ける神奈川県の国立病院機構久里浜医療センターの樋口院長は、意味のあることだと評価しております。同センターが2019年11月に公表した10代、20代の男女を対象とする実態調査では、1日当たりのゲーム時間が長い人ほど、学業や仕事に悪影響があったり、心身に不調を感じてもゲームをやめられない傾向にあったそうであり、60分という線を示すのは予防として有効、他の子も同じ条件なので守ろうという意識も高まりやすいと話されております。 一方、社会学と精神医学が専門の井出大阪大非常勤講師は、一律の時間制限は合理的ではないと疑問を投げかけられ、依存には鬱病や不安症など他の精神障害もかかわっていると言い、対象者を個別に見つけ出してアプローチするほうがいいと指摘されております。 朝日新聞が1月25、26日に実施した世論調査では、全体で反対が57%で、賛成の31%を上回りました。男女別では、賛成は、男性の26%に対し女性は36%と高く、年代別では、18歳から29歳の75%が反対したのに対し、70歳以上の高齢者は賛成40%、反対39%と割れました。地域別に見ると、香川県を含む四国では賛否が割れたが、その他の地域ではいずれも反対のほうが多かったとのことでありました。 また、この条例の賛否をめぐっては、1月31日に高松市に住む高校生が、条例の素案に反対する約600人分の署名を県議会に提出するなど、物議を醸しております。 このように、この条例案に対しましては、保護者、専門家、世代、性別、地域によって賛否が異なっているのが現状であります。 かつて、2014年に愛知県刈谷市が市内の小中学生を対象に、午後9時以降の携帯電話やスマートフォンの利用を禁止しました。この取り組みは、同市の市教委や小中学校長、警察などでつくる刈谷市児童生徒愛護会が発案し、実施されました。 各小中学校長とPTA会長名で、各家庭に文書で、必要がなければスマホは持たせない、フィルタリングサービスを利用するなど親子で約束を結ぶ、夜9時以降は保護者が預かるという、3つのルールを呼びかけたそうです。その後、実際に取り組みを実施した中学校では調査を実施し、保護者の9割以上が、学校が決めてくれたほうが子供に守れと言いやすいと賛成し、中学生へのアンケートでも、勉強に集中できるようになった、29%、睡眠時間がふえた、19.3%、精神的に楽になった、4.8%などという結果でありました。 また、今回の仮称ネット・ゲーム依存症対策条例案では、平成30年度に香川県教育委員会が行った香川県学習状況調査が参考とされました。その調査は小学5年生から中学2年生が対象で、平日のスマートフォンなどによるSNSなどの利用時間が1時間を超えると、正答率が低くなるという傾向が出ております。 さて、これまで子供たちのインターネットやゲームを取り巻く環境について述べてまいりましたが、私は、本県も香川県同様に、ネット・ゲーム依存症対策条例が現時点で必要であると申し上げるつもりはありません。私は、条例を制定するよりも前に、数ある遊びの中からSNSやオンラインゲームなどが選ばれ、なぜそれをみずからの力でやめることができなくなるのか、子供たちが依存していく背景を分析し、依存症に陥らない環境を県が率先してつくることが先であると考えます。 そこで、WHOのゲーム障害の疾病認定や厚生労働省の調査結果などをどのように受けとめられ、どう対応していかれるのか、濱田知事の御所見をお伺いいたします。 また、前項で取り上げましたOECDによるICT活用調査結果などを踏まえますと、子供たちにはネットやゲームが、遊びやコミュニケーションのツールとしては利用されておりますが、これを今後学習のためのツールとして利用するようにしていくことも、ネット・ゲーム依存症対策につながるのではないかと考えます。 そこで、児童生徒のネット・ゲーム依存を防ぐための適切なインターネット利用が重要になるものと考えますが、長時間、ネットやゲームを行っている児童生徒に対する具体的な取り組みについて教育長の御所見をお伺いいたします。 また、香川県の条例案では、依存症治療の医療体制を県が整備することと、依存症の知識を持つ人材を県が育成することなどが記述されておりますが、本県におけるネット・ゲーム依存症への対応について地域福祉部長に御所見をお伺いいたします。 次に、学校内におけるアレルギー対策について質問いたします。先日、私に、県内の県立高等学校に通っている生徒の保護者より相談がありました。その生徒は食物アレルギーがあり、卵、乳成分は一切食べることができず、仮に大量に摂取すると命にかかわるそうです。そのことについては、入学時に学校に保護者が直接お話をし、ふだん学校へはお弁当を持参しており、これまでは特にトラブルもなかったとのことでした。 そんな中で、昨年、この県立学校の教員が家庭科の調理実習の準備段階において、使用する食材中の成分表示の確認を怠り、食物アレルギーの原因となるものが入っていることに気づかず、実習直前に食材を確認したところ、混入されていることが発見されたという事案があったと聞きました。この事案は、実習前に確認されたことで大事には至らなかったものの、食物アレルギーに対する対応が不適切な事例であったのではないかと考えます。 私は、県教育委員会は、全ての教職員がアレルギー疾患及び緊急時の対応について、正しい知識と理解のもと迅速かつ適切に対応できるよう、マニュアルを作成し、アレルギー疾患の児童生徒が学校生活を安全・安心に送るために、適切に対応しておられることは、承知をしております。しかしながら、保育園、そして給食のある幼稚園や小中学校に比べて、高等学校では、生徒自身が中学校までよりも自己管理ができるということもあり、アレルギーに対する認識が低くなっているのではないかと危惧します。 そこで、高等学校における食物アレルギー疾患の生徒に対する対応状況について教育長にお伺いいたします。 また同様に、アレルギー疾患をお持ちの子供を持つ保護者は、その子が赤ちゃんのころから、他人から善意で子供に対してお菓子や食べ物をいただいても、成分表示を見て明らかにアレルゲンが入っていない場合以外は、食べさせることができません。そのような中で、今後予想されております南海トラフ地震や大規模自然災害等が発生し避難所に避難した場合に、避難所等の備蓄食料の中にアレルギー対応食があるのか、危惧されております。 そこで、災害発生時におけるアレルギー疾患のある方への対応と、本県の災害備蓄用物資の中でのアレルギー対応食の現状について危機管理部長に御所見をお伺いいたします。 次に、産業振興政策についてお聞きします。 まずは、農業分野について。農業は、病気、天候、雑草、そして虫との戦いの連続であり、それらに対抗し乗り越えてきた結果、農業は飛躍的に発展してきております。 かつては、農家お一人お一人の知識と経験に裏打ちされたたくみの技術で、本県の園芸農業は成り立ってきたと言っても過言ではないと思います。それと同時に、本県では、オランダ型の環境制御装置や次世代型ハウスなどといった、次世代型こうち新施設園芸システムを推進し、今日の成果を出しております。 その一方で、病害虫との戦いには、化学合成農薬だけに頼るのではなく、天敵、防虫ネット、防ガ灯などさまざまな防除技術を組み合わせ、農作物の収量や品質に経済的な被害が出ない程度に発生を抑制しようとするIPM技術を推進するなど、積極的に取り組んでいただいております。 日本一のニラの産地である私の地元香南市では、日々ニラ農家さんたちが、ニラの害虫であるアザミウマ類、ネダニ類などと戦っております。そして、それら害虫に対しまして、幾つかの農薬が登録され、使用されております。そのような中で私は、ニラで最も重要な害虫であるネギアザミウマに対して効果のある幾つかの農薬を使用しているが、特定の農薬に頼った状況では、効果のある農薬であっても、いつか抵抗性を持ったネギアザミウマが出現するのではないかと、危惧する声をお聞きしました。 先ほどから申しておりますように、農業の歴史において病害虫と農薬の関係はイタチごっこであり、病害虫の中から、いつか耐性菌と抵抗性害虫が生まれるものであります。 そこで、現在のニラの害虫対策の課題を踏まえまして、今後の対応策について農業振興部長に御所見をお伺いいたします。 次に、宝石サンゴの保護育成並びに増殖事業についてお聞きします。宝石サンゴは、100年を超える本県の伝統的な特産品であり、貴重な資源であります。この海の宝石として知られる宝石サンゴ類は、黒潮流域の水深約100から300メートルに生息し、高知県、沖縄県、鹿児島県、長崎県、和歌山県、小笠原諸島などで漁獲されております。中でも、本県沖は世界的な漁場として知られており、サンゴ網と呼ばれる伝統的な漁具、漁法による採取が行われております。 また、宝石サンゴは、我が国では持続的に利用されてきた貴重な資源であると考えられておりますが、一方、近年のワシントン条約締約国会議では、附属書掲載提案がなされているのが現状であり、本年7月にはワシントン条約第31回動物委員会で、宝石サンゴに関する議論が予定されております。 そのような状況の中で、宝石サンゴ資源の持続的な利用を確立するために、現在、高知県サンゴ漁業連絡協議会、日本珊瑚商工協同組合、NPO法人宝石珊瑚保護育成協議会など、宝石サンゴ関係団体が協力して、これまで取り組んできた漁獲制限を主とした資源管理に加えて、人工増殖等による積極的な資源の保護増殖を2016年から実施しております。 人工魚礁へ宝石サンゴの小枝を接着し、投入し、引き上げる作業を繰り返し、その結果、サンゴの成長は確認されております。また、宝石サンゴの成長速度は遅く、さらに人工的に宝石サンゴを増殖するために着底試験や形状改良を試み、サンゴ漁師が船上でも手軽に放流できるように、小型増殖基質が新たに開発されました。そして、昨年11月と本年1月には、宿毛港柏島沖や土佐清水沖で、100基、300本の宝石サンゴの稚苗が放流されております。 濱田知事は、今議会の提案説明の第4期産業振興計画の策定の中で、SDGsを意識した取り組みの促進を取り上げました。そして今後、SDGsを意識して事業活動を行うことにより、事業者にとって大きなビジネスチャンスが生じる可能性と、SDGsに関する講座の開催や、SDGsを意識した製品開発の促進などに取り組むと説明されました。 この宝石サンゴの保護育成と増殖事業は、まさにSDGsの目標14「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」の中の14の2「2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取り組みを行う」、14の4「水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する」という2項目の取り組みにぴったりと該当するのではないかと考えます。 そこで、この宝石サンゴの保護育成と増殖事業の取り組みについて濱田知事の御所見をお伺いいたしまして、私の1問目とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 浜田議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず、就職氷河期世代の中で、非正規雇用や不安定就労状態の方々への支援策を実行する意義につきましてお尋ねがございました。 議員からお話がありましたように、長い経済停滞の時代と就職時期が重なりまして、不本意ながら不安定な就労状態で働き続け、年齢を重ねられた方は少なくありません。国の公表によりますと、そういった方々がおよそ、全国で50万人、本県では3,500人とされております。 そうした中、昨年、国の骨太の方針2019におきまして、就職氷河期世代支援プログラムといたしまして、3年間、集中的に取り組むことが盛り込まれたところでございます。こうした方々に、希望する職や正規雇用につながります支援を行いますことは、生活面での安定はもとよりでございますが、将来設計を描く上で大変重要なものだと考えております。加えて、本県におきましては、さまざまな産業分野の人手不足が深刻化しております。そうした産業分野におけます担い手としての活躍も、大いに期待するところでございます。さらには、これらの取り組みが進むことは、あらゆる世代の方々が能力を発揮できる社会の実現にもつながるものと考えております。 今後、この世代の方々が置かれている状況は、年齢とともに切実度が増し、早急な支援が求められております。こうしたことから、国と地方自治体が連携して集中的に取り組むことは、大いに意義があると考えております。 県といたしましては、こうした方々が望む形での就労につながりますように、国や関係機関などで構成をいたしますプラットフォームの中で、相談から就業後の定着支援まで切れ目のない支援を行ってまいります。 次に、いわゆるひきこもり問題への認識、当事者の方などへの支援についてお尋ねがございました。 ひきこもりの背景には、病気や障害、人間関係などさまざまな要因があり、ひきこもりの期間や家族の状況なども多様であります。かつ、複雑な問題を抱えている課題だというふうに考えております。私も、昨年夏に高知に戻りまして以来、県内各地で県民の皆様から、ひきこもり問題に関する切実な声をお聞きいたしました。しっかりと取り組むべき重要課題だというふうに考えております。 ひきこもりの人への支援に当たりましては、何よりも御本人の気持ちに寄り添いまして、御家族も含めて、息の長い伴走型の支援を行うことが重要だと考えております。あわせまして、個々のケースが抱えます複合的な問題につきまして、多様な職種及び関係機関が連携をして、包括的に支援する体制の構築が求められているところでございます。 また、御指摘がございましたように、ひきこもりの人が周囲とのつながりを回復していくと、こういう過程では、社会全体がこの問題に対する理解を深めまして、本人や御家族に接していくということが不可欠となってまいります。 今後につきましては、こうしたことに十分に意を用いながら、市町村あるいは関係機関との連携・協調のもと、現状において困難を抱えておりますひきこもりの方々と御家族への支援を、より強固なものにしてまいりたいと考えております。 次に、WHOの疾病認定などをどう受けとめ、対応していくのか、ネット・ゲーム依存症対策に関してのお尋ねがございました。 近年、日常生活や社会生活に悪影響を及ぼしますゲームの過剰使用が問題となっております中で、WHO--世界保健機関によりまして、ゲーム障害が疾病として認定されました。この点は、御指摘のとおりでございます。これによりまして、2022年の発効に向けまして、ゲーム障害の治療体制の構築などが大きく前進をするものと、評価をいたしております。 昨年、国立病院機構久里浜医療センターによるアンケート調査が行われましたが、この結果でも、ゲームの過剰使用から、学業成績の低下や、あるいは昼夜逆転といった悪影響が出ているという状況が明らかになっております。こうした若者が、今後ネット・ゲーム依存となる可能性を考えますと、この対策は急務であるというふうに受けとめております。 ネット・ゲーム依存への対策を進めるに当たりましては、依存症の進行や再発を予防するための、医療の充実や人材の育成が欠かせません。あわせまして、ネット・ゲーム障害に関します正しい知識の普及啓発あるいは相談支援を、家庭や学校を含む社会全体で行っていく必要もございます。 今後、国におきまして、普及啓発の強化を初め、相談支援、治療などの体制充実に向けた取り組みが進んでまいります。県といたしましても、そうした状況も踏まえながら、まずは正しい知識の普及啓発の充実、この点を中心に検討してまいりたいと考えております。 最後に、宝石サンゴの保護育成、増殖事業の取り組みについてのお尋ねがございました。 宝石サンゴは、漁業者や加工業者など多くの方々に広く恩恵をもたらしてきた、本県が誇るべき資源であります。近年は、中国の好景気を背景に価格が高騰いたしまして、令和元年の水揚げ額は平成20年のおよそ5倍となり、30億円を超えているところでございます。 しかし、このような国際取引が宝石サンゴ資源に影響を及ぼすおそれがあるといたしまして、これまでワシントン条約締約国会議におきまして、取引規制に関する議論がなされてまいりました。この点、御指摘のとおりでございます。また、本年にはこの会議の動物委員会におきまして、宝石サンゴに関する議論が予定をされておりまして、引き続き予断を許さない状況にあるという認識でございます。 このような中、漁業者や加工業者の方々によりまして、宝石サンゴの小枝を取りつけました魚礁を海底に投入し、増殖を図る活動が行われておりまして、小枝の成長も確認をされております。また、新たに安価な小型の魚礁も開発されまして、増殖活動に取り組む漁業者の作業も省力化が図られてまいりました。先日、私も関係者の方々から直接お話をお聞きいたしたところでございます。 このような取り組みは、宝石サンゴの保護育成を図っていく上でも、本県の資源管理の姿勢を国際的にアピールしていくためにも、大変重要な取り組みであるというふうに評価いたしております。また、お話もございましたように、国連の開発目標SDGsの方向性にも大いに沿うものというふうに考えております。 こうした自主的な取り組みに加えまして、漁獲量や操業の規制といった漁業管理を適切に行うことが大切であると考えております。このため県といたしましても、関係者の方々と力を合わせまして、宝石サンゴの持続的な利用に向けまして、取り組んでまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。   (総務部長君塚明宏君登壇) ◎総務部長(君塚明宏君) 来年度の就職氷河期世代を対象とした県職員採用試験の具体的な採用方法と、採用者への期待についてお尋ねがございました。 今回新たに実施する採用試験につきましては、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った就職氷河期世代のうち、特に正規雇用の機会に恵まれなかった方々に、県職員としての就職の機会を拡大しようとするものです。 具体的には、御紹介のありました厚生労働省と同様に、令和3年4月1日時点で36歳から50歳までの方で、この1年間、正規雇用労働者として雇用されておらず、かつ直近5年間の正規雇用期間が通算1年以下の方を対象といたします。学歴不問の試験といたしまして、従来より実施しております社会人経験者採用試験などとは別枠によって実施いたします。 県といたしましては、今回の試験で採用となる方々の、厳しい社会環境における多様な経験が職務に生かされることにより、組織の活性化が図られることを期待しております。また、採用となる方々には、他の職員とともに創造性やチームワークを発揮して、高知県の抱えるさまざまな課題に果敢に挑戦する職員となっていただくことを期待しております。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) まず、ひきこもりピアサポートセンターの新設の意義と役割についてお尋ねがございました。 ひきこもりの人への支援におきましては、同じ状況を体験したことのある方によって相談や助言などを行っていただくピアサポートが、当事者御本人との関係性を構築し、その後の支援につなげていく上で、大変有効となってまいります。 また、ひきこもりの問題は、御家族からの相談によって初めて明らかになるなど、御家族が深い悩みを抱えていることが多い状況がございます。さらに、御家族も社会から孤立することで、誰かに相談することを望んでいても、その一歩を踏み出すことができず苦しまれている場合も少なくないことを踏まえますと、当事者本人のみならず、御家族への相談支援は、大変大きな課題だと認識しております。 現在、本県では、家族会の方々に、そうした御家族への相談対応などを一定担っていただいているところですが、県として、今後ピアサポートの体制強化を図るため、家族会の方々にも御協力いただき、新たにひきこもりピアサポートセンターを設置することとしています。 このセンターでは、相談窓口としての体制を強化しますほか、地域の支援機関とのネットワークを構築して、適切な支援機関へのつなぎや、他機関からの依頼に基づく支援の受け入れも行ってまいります。さらには、ひきこもりの人や家族の立場に立った、ひきこもりへの正しい理解を普及するための啓発活動も行ってまいりたいと考えております。 次に、本県におけるネット・ゲーム依存症対策についてお尋ねがございました。 香川県の条例案に掲げられている相談支援や啓発、医療体制の整備、人材育成といった取り組みは、本県におきましても必要な取り組みであると認識しております。 現在、本県における相談支援については、教育現場でスクールカウンセラーによる面談などが行われているほか、精神保健福祉センターにおいて、年間30件前後の相談に対応しています。 また、精神保健福祉センターでは普及啓発のための、アディクション・フォーラム高知の開催に取り組んでおります。昨年12月のフォーラムは、ゲーム依存をテーマに開催し、教育や医療・福祉などの多くの関係者に参加いただいたところです。本県では、まずはこうした普及啓発の取り組みを充実してまいりたいと考えております。 また、医療体制の整備や人材の育成につきましては、WHOにおいてゲーム障害が疾病として認定されたことを踏まえて、来年度から国立病院機構久里浜医療センターが実施する、ネット・ゲーム依存の診断・治療等の研修へ、医療従事者を派遣することとしております。 今後も、国におけるネット・ゲーム依存症対策の検討状況を注視しながら、教育や医療などの関係機関と連携した取り組みを進めてまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、GIGAスクール構想の実現による本県の教育改革についてお尋ねがございました。 現在の一斉一律を前提とした授業では、理解が十分ではなく授業についていけない子供や、内容が平易過ぎると感じている子供などに対する指導や、個々の興味、関心に沿った授業の実施といった点で、課題が生じている場合があると考えております。このため、ICTを活用し、子供たち一人一人の能力や興味、関心に応じた学びの実現を図るため、第2期の教育大綱において、デジタル社会に向けた教育の推進を、基本方針の柱として新たに掲げることとしております。 このたびの国の令和元年度補正予算において、1人1台端末や校内通信ネットワークを一体的に整備するための経費が盛り込まれたところであり、これら国の後押しも受けながら、本県の学校のICT環境の充実を図ってまいります。 こうした1人1台端末や校内通信ネットワークは、日々の授業へ活用していくことが大変重要となります。このため、個々の学習進度に応じた学習や、興味、関心に応じた探究活動を推進するため、拠点となる高等学校を指定し、民間事業者等の知見も得ながら、1人1台端末を用いたAIドリルや動画教材などによる学習のあり方について、研究を進めてまいりたいと考えております。 また、来年度から必修化される小学校のプログラミング教育においては、タブレット型端末などの利用が効果的であることから、研究指定校の実践事例等を集めたICT活用ハンドブックを策定し、研修会等において活用してまいります。さらに、文部科学省や民間企業で構成されます、未来の学びコンソーシアムにおいても、多様なタブレット型端末等の実践例が報告されており、これらの積極的な活用も各学校に促してまいります。 こうした取り組みを通じ、子供たち一人一人に個別最適化され、創造性を持ってICTを活用できる教育環境の充実に向けた国のGIGAスクール構想を、本県においても実現させ、Society5.0の社会で活躍できる子供たちの育成に努めてまいります。 次に、長時間ネットやゲームを行っている児童生徒に対する具体的な取り組みについてお尋ねがございました。 インターネットなどの情報技術は、多くの世代にとって生活に必要不可欠なものになっています。一方で、児童生徒のネットやゲームの長時間利用が、生活習慣の乱れやコミュニケーション能力の低下といった弊害を生み出すことも指摘されているところです。このため、県教育委員会では、保健の授業や特別活動を通じて、ネットの利用に伴う健康への影響やさまざまな危険の可能性と、その回避の方法などについての教育を実施しております。また、長時間利用が心配される児童生徒には、家庭と連携し、スクールカウンセラーによる個別指導や面談などを行い、適切な利用に向けた支援を行ってまいりました。 今後は、こうした取り組みを継続するとともに、長時間の利用となっている児童生徒の立場から見た実態調査、例えば、ネットやゲームの魅力は何か、長時間利用していることに対する思い、そして長時間利用をやめたいと思うときはどんなときかなど、こういったことを行いまして、その分析から効果的な指導・支援などを検討していきたいと考えております。あわせて、健康教育の中核を担う養護教諭に対して、専門家を講師に招いての研修を実施し、この実態調査の成果を活用した児童生徒への効果的な指導や支援に向けて、取り組んでまいります。 県教育委員会としましては、ゲームやネット依存は、デジタル化社会の進展に伴い解決しなければならない重要な課題だと認識しております。今後とも、こうした取り組みについて、家庭はもとより医療や福祉などの関係機関とも連携して、予防、改善につなげてまいります。 最後に、高等学校における食物アレルギー疾患の生徒に対する対応状況についてお尋ねがございました。 食物アレルギーについては、個々の生徒の状況に合わせて慎重に対応することが重要で、今回、県立高等学校において事故の発生につながる可能性のあった事案が発生したことを、重く受けとめております。 現在、県立高等学校においては、食物アレルギーのある生徒には、医師による学校生活管理指導表を入学時に提出していただき、校内支援委員会などを開催してアレルギーの情報を全ての教職員で共有し、基本的な対応について理解を図るようにしております。さらに、家庭科の調理実習においては、食物アレルギーに対して個別に配慮を行うようにしており、生徒本人や保護者と確認しながら、食材の取り扱いにも注意しておりました。 しかしながら、今回、高等学校において調理実習時に、教員が計画的に食材のチェックを行って万全の態勢で実習に臨むべきところ、実習直前の教員の確認でアレルギー成分が入っていることが判明したという事案が生じました。食物アレルギーのある生徒や保護者には、大きな不安を生じさせる結果を招いてしまいました。 このことを受けまして、県教育委員会としましては、特に調理実習における食材チェックを複数の教員で行うことなどを通知し、再度徹底を図ってまいります。具体的には、使用する食材等について、チェックリストをもとに複数の教員で確認を行うことに加えまして、調理作業中における微量の混入も防止するため、調理機材や調理工程などについても慎重な確認を行うなど、食物アレルギーのある生徒への確実な対応を行ってまいります。 また、食物アレルギーにつきましては、命にかかわることであるという意識を全ての教職員で共有し、食物アレルギーについての理解をより深めることや、万が一症状が出た場合の適切な対応などについても、各校において教員研修を実施し徹底してまいります。   (危機管理部長堀田幸雄君登壇) ◎危機管理部長(堀田幸雄君) 避難所における食物アレルギー疾患のある方への対応と、アレルギー対応食の備蓄についてお尋ねがございました。 まず、食物アレルギーのある方への対応については、県内の避難所ではアレルギーのある方でも安心して避難生活を送っていただけるよう、受け付け時に避難者カードへ配慮が必要な事項を記入していただき、その方に合った食品の調達や提供を行うこととしています。 次に、食料の備蓄については、基本的には県民の皆様に御自身に合った食品の備蓄をしていただくよう、啓発冊子やテレビ、ラジオなどを通じて啓発を行っております。 公的な備蓄としては、市町村では想定避難者1日分の備蓄を進めているとともに、県では市町村を補完するため、その20%の備蓄をしております。このうち、県が備蓄している食料は、全てがアレルギー対応のアルファ米です。また、全ての市町村において、アルファ米や缶詰、クラッカーなどの何らかのアレルギー対応の食料備蓄を行っているものの、品目や数量については市町村によって異なっております。 このため、来年度、必要なアレルギー対応食品の品目や数量などの備蓄の方針について、学識経験者の御意見もお伺いしながら市町村と検討を行っていくこととしています。   (農業振興部長西岡幸生君登壇) ◎農業振興部長(西岡幸生君) ニラの害虫対策の課題を踏まえた今後の対応策についてお尋ねがございました。 議員のお話にございましたとおり、ニラ栽培では、アザミウマ類やダニ類等の害虫による被害が問題となっております。特に、ネギアザミウマは、葉の食害だけでなく、葉に白い斑点が発生するウイルス病も媒介することから、わずかな発生でも品質低下につながる、最も被害が大きい害虫でございます。 ネギアザミウマの発生要因としましては、圃場周辺に放置したニラの残渣が害虫の発生源となり、ハウス外から常に侵入しやすい栽培環境にあること、農薬の散布むらにより害虫が生き残ることが考えられます。さらに、同じ種類の農薬を繰り返し使うことで、抵抗性害虫が発生する可能性が高まることも、懸念されるところでございます。 これらの課題に対しましては、まず残渣をしっかり処分するとともに防虫ネットを張ることによってハウス内への害虫の侵入を防ぐ、次に農薬が株元までかかるよう丁寧に散布することで害虫の生き残りを防ぐ、その上で種類の異なる農薬をローテーションで使用することにより抵抗性害虫を発生させないといった対策を行うことが重要となります。 今後も、農業振興センターとJA営農指導員が連携して、農家の皆様にこれらの対策を周知徹底してまいります。 ◆9番(浜田豪太君) それぞれに丁寧な御答弁ありがとうございました。 まず、知事におかれましては、就職氷河期世代とひきこもり問題というものにお答えいただきました。 2つとも非常にかぶっておるというか、つながりの深いものじゃないかと私は考えております。ある種、時代の中で、その時代のために機会の平等を失ったというか、奪われたというか、そういった方々が実際におられるということを、やはり知事の言葉から御認識いただきまして--これから氷河期世代の方々、そしてまたひきこもりの方々に対して、県も光を当てていただくと--そしてまた、その御家族にということも当然でありますし、そのような言葉をいただけて--そしてまた、総務部長には--今後、これまでさまざまな境遇といいますか、その中で正職員でいられなかった方が県庁にも入られることになるということで、どうなるのか。しかし、いろんなことを知っておるということを強みに、県庁でもしっかりと働いてもらえるように、総務部長としても応援していただければと思うところでございます。 そして、今回、ネット・ゲーム依存症対策ということで、今香川県議会で上がっておることを取り上げさせていただきました。私もゲームというものをほぼやったことがないわけであって、どういうものかなということで、実際に自分の知り合いなんかに聞いて、そしてまた自分でもスマホにゲームを入れてやってみたり、いろんな方から話を聞きました。 かつて、ゲームというと、例えばロールプレーイングゲームが、私が子供のときに、はやっていたんだと思います。私自身はやったことはありませんが、それなんかは、やはり終わりがあって、それを目指してやってきたのがゲームではないかと思います。しかし今、オンラインのゲームというと、やはり、一番小学生、中学生あたりで、はやっておるのが、終わりがない、何といいますか、オンラインでつながった友達と永遠にやることができるようなゲームが主流であるというふうに私は聞いておりますし、どうやって終わったらいいのか。 そして、SNSも同じでありまして、子供たちが学校であったことを、家に帰って、例えば携帯のSNSで上げますと、それに次々とみんなが反応することに対して、終わることができない。これ、大人も同様のところがあると思います。しかし、先ほど申しました93万人がおられて、そしてまたさまざまな問題も目に見えてきております。そしてWHOでも、そういう結果を受けて疾病ということになっておるという現実を踏まえていただいて、今後必ず出てくるところであります。今、私が一番危惧しておるのは--このコロナウイルスで学校が休校しております。その間に--いつもより長い1カ月という休み、そしてまた外へ出るなということで室内におる子供、そしてまたその中でやることの中で、ゲームというものに入っていく子供がたくさんおるのではないかというふうなことを危惧しております。 そういったことがある可能性を十分に考慮いただきまして、教育長、そして地域福祉部長、知事は当然のことでありますけれど、連携して、この春以降といいますか、これがおさまったときに何かしらありましたら、丁寧に対応していただきますことを心から要請させていただきまして、私の全ての質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(桑名龍吾君) 暫時休憩いたします。   午前11時7分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(弘田兼一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 30番橋本敏男君。   (30番橋本敏男君登壇) ◆30番(橋本敏男君) 県民の会の橋本敏男でございます。早速質問に入らせていただきます。 持続可能な開発目標と訳されるSDGs、それは極めて抽象的であり、具体的に何をどうすればいいのか、見えづらくわかりづらい。SDGsは、17の目標と169のターゲットが設定されていますが、一般の人々にはなじみがないのが実態だというふうに思います。今議会冒頭での知事の所信表明演説で、SDGsという文言が幾度となく使われ、その理念に基づいた本県の取り組みが加速しています。 しかしながら、SDGsに沿った政策を推進していく上で、県民のSDGsに対する理解は必須だと考えますが、県民や企業の理解、取り組む意欲の喚起など、どのように図っていくのか、知事にお尋ねいたします。 国も、出入国管理法や日本語教育推進法などを整備して、多文化共生グローバル社会への対応を着々と整えています。外国人労働者の受け入れ拡大はSDGsの目標に沿った取り組みであり、産業界の人材不足への対応策となる一方、日本語教育推進法の制定は、多文化共生の大きな一歩となるのではないかと思います。 外国人との多文化共生社会実現に向け、環境整備を県政の重要政策と位置づけ、条例制定も視野に進めていくべきではないかというふうに考えますが、知事の所見を求めたいと思います。 イスラム教を信仰する人々はムスリムと呼ばれており、マレーシア、インドネシアを初めとして、ムスリムの多い東南アジアのほうから訪日旅行者が増加しています。こうしたムスリムの多い国々は、今後生産と消費が急速に拡大することが見込まれる市場であるため、本県においても、ムスリム旅行者に対する受け入れ環境の整備や誘致のプロモーション、さらには輸出市場としての環境整備対応が求められるというふうに思います。 ムスリムは、世界人口のおおよそ4分の1を占めると言われ、キリスト教に次ぐ規模で、割合、人数ともに、他の宗教に比べ大きな伸びが予想されます。ムスリムによる旅行市場規模は、2021年には2,430億ドルにも達すると予想されており、この市場に向き合わない手はないと思います。 平成30年2月定例会で田中議員から、ハラール認証についての質問がなされ、食品分野の流通が確保できつつあるインドネシアやマレーシアなど、イスラム圏の国々での販路拡大に取り組むと産業振興部長の答弁があり、観光振興部長からは、ハラール対応を進め、周知啓発を行っていくとの答弁がありました。 その後、どのような取り組みをしてきたのか、どのような成果を得たのか、さらには現状と対策について産業振興部長並びに観光振興部長に示していただきたいというふうに思います。 特にムスリム旅行者は、成長余地の大きい貴重な旅行セグメントであると考えられることから、その拡大のための受け入れ環境整備を進めることが重要であると同時に、積極的なプロモーションやハラール対応に取り組む必要があると思います。 本県のインバウンド誘客のさらなる拡大や、イスラム圏への貿易促進を考えるのであれば、ムスリム対応は必須だと思いますが、その必要性を知事はどう認識しているのか、答弁を求めます。 人材不足は、あらゆる業界において課題となっていますが、特に本県は急速な高齢化に相まって、介護人材の不足が喫緊の課題となっています。介護現場に行くと事業所関係者からは、人材不足による経営の行き詰まりを心配する悲痛な声が聞こえてまいります。本県における介護サービスを安定的に提供するためには、介護サービスの担い手である介護人材の確保は待ったなしの状況であると思います。 昨日の黒岩議員の介護人材の確保対策についての質問で、介護処遇改善や第8期介護保険支援計画の策定の方向性が示されましたが、改めて介護現場の実態と人材確保の取り組みについて地域福祉部長の答弁を求めます。 日本全体が人口減少下にあり、生産人口が極めて厳しい状況にあることから、政府は外国人介護人材を確保するため、平成20年から経済連携協定、いわゆるEPAをベトナム、フィリピン、インドネシアの3カ国と締結し、EPAに基づく外国人介護福祉士候補の雇用に力を入れてきました。また、日本の介護福祉士養成校を卒業した在留資格、介護を持つ外国人の雇用や技能実習制度を活用し、外国人雇用などの取り組みも行ってまいりました。さらには、新たな在留資格、特定技能1号を持つ外国人の雇用などの取り組みを行い、介護ニーズの爆発的な増加に対応するための施策が推進されることとなりました。 介護ニーズと介護人材確保の厳しい現状を考えると、外国人介護人材の活用なくして、介護業界は成り立たなくなるのではないかとさえ思います。本県における外国人介護人材の受け入れ状況について地域福祉部長の答弁を求めます。 外国人介護人材の活用が有効な手段の一つとすれば、将来的には介護業界に多くの外国人が参入してくると考えますが、県として、今まで外国人介護人材確保のためにどのような取り組みをしてきたのか、具体的な受け入れ支援策について地域福祉部長の答弁を求めたいと思います。 特に、外国人材を活用している現場では、言葉の違いなどから利用者との意思疎通や介護記録の作成が問題となっており、それを満たすためには日本語の支援を行う必要があるのですが、事業者にとっては大きな負担となります。 そこで、外国人介護人材の日本語教育にかかわる経費の一部についてさらなる支援ができないか、地域福祉部長の答弁を求めます。 出入国管理法が改正され、昨年4月から外国人労働者の受け入れを拡大する新たな制度として、在留資格、特定技能を持つ外国人の雇用が可能となりました。この新たな在留資格は、日本の慢性的な労働力不足を補うための制度で、特に人手不足とされている特定14業種に限って受け入れを可能としています。 現在、国内で働く外国人には大きく分けて、実習生と留学生、そして高度人材、永住者に加え、人手不足枠として新たな在留資格が加わることになりました。しかしながら、現時点で外国人労働者の受け入れの拡大を目指して創設された新たな在留資格制度の利用は低調で、人手不足の現場が依存するのは実習生や留学生という名の外国人労働者です。 国は、本格的に外国人労働力の確保に踏み出し、外国人材を日本の力にと、公的支援も含めたさまざまな施策を推進していますが、県内における働く外国人の人数など現状と課題について商工労働部長の答弁を求めます。 それにしても、高知県の人手不足は深刻で、地域経済、社会基盤の維持が阻害される可能性が生じてきていることに強い危機感を持っています。特に、県内の中山間地域では危機的な状況に落ち至っているところが多く、地域を守っていくには労働力の確保は待ったなし、外国人労働者に依存することもやむなしと考えます。しかしながら、外国人労働者を取り巻く環境は、決して楽観できるものではありません。 ここ最近、頻繁に職場や語学学校から姿を消す、外国人技能実習生や留学生が後を絶たないとの報道が繰り返し行われています。御承知のとおり、外国人技能実習は、国際貢献として途上国への技能移転を目的とする制度ですが、実際は安価な労働力として使われてきたのは周知の事実です。受け入れ事業所は、新制度は手間も費用もかかると敬遠していることから、技能実習生の受け入れが、さらにふえることが予想されます。 読売新聞は2月23日の朝刊において、「実習生らヤミ就労で返済」との見出しで、外国人の失踪に関しての記事が掲載されていました。それによると、送り出し機関から誇大宣伝をされ、日本に来てみると、事前に説明を受けた就労契約とはほど遠い中身のもので、現地の送り出し機関により来日前に徴収された手数料は100万円を超え、それを全額借金で賄ってまで夢見て来日したのに、働き始めて愕然と、記事には書かれています。 また、日本語を勉強するため日本語学校などに在籍している留学生も、就労目的で来日しアルバイト漬けになったあげく、所在不明になっているケースは後を絶たないというふうに聞いています。この記事のとおり、人手不足の現場が依存するのは、実習生や留学生という名の労働者ですが、そんな外国人が消えていなくなる事件が勃発していることも事実です。 外国人労働者の問題は労働基準監督署の担当ですが、県内における外国人の失踪者は何人に上り、県内において、現状どのような問題があり、外国人就労環境についてどこまで把握されているのか、商工労働部長の答弁を求めたいと思います。 また、入管難民法違反の不法就労、俗に言う闇就労に対して県警としてどのような対応がなされているのか、警察本部長の答弁を求めたいと思います。 さらには、不法就労させることを目的として、暴力団が外国人に在留資格を不正取得させるなどにより、不法滞在者が増加すれば治安に対する重大な脅威となると思いますが、現状と県警の対応について、重ねて警察本部長の答弁を求めます。 一極集中、人も金も全て東京に集まる、そんな社会構造の中で、人口減少という地方が同じ課題を抱え、外国人材の取り合いになっている現状があります。いい外国人材に高知の企業や地域が選ばれ定着してくれる、そんな地域社会になるよう、県として外国人材の定着支援をどのように果たしていくつもりか、知事の答弁を求めます。 また、今後の外国人労働者の受け入れによる本県への影響に対して、県民の中には、労働需給の関係で、賃金上昇抑制の懸念も心配されている声も聞こえます。 私は、高知県の人口や生産年齢人口が減少し、人手不足が強まっていくと考えれば、外国人労働者の増加による賃金上昇の抑制への影響は薄まってくるのではないかとも思いますが、知事の見解を求めたいと思います。 外国人技能実習制度により来日した実習生の失踪と大きくかかわり合いがあるのが、受け入れ機関である監理団体と実施機関です。上陸基準省令では、行方不明者を多発させた監理団体、実施機関は、その責めに帰すべき理由がない場合を除き不正行為として、実習生の新規受け入れを一定期間停止する措置がとられることとなっています。 しかしながら、行方不明の実習生からは、通常失踪理由等を聴取することができず、他の者に対する調査では、監理団体、実施機関の帰責性を認定することは困難であると思われ、実際過去に受け入れ停止となった監理団体及び実施機関は少ないというふうに聞いています。これでは、実習生を劣悪な環境で働かせていることが原因で失踪者を多発させている監理団体、実施機関の摘発はできず、事実上、現行規定が空文化していると言わざるを得ません。 県として、失踪者が一定数に達した監理団体及び実施機関の事情聴取を行い、状況によっては関係機関に対し、実習生への聴取なく、監督官庁に停止措置を講ずるよう要請することができないか、商工労働部長の答弁を求めます。 日本で暮らす外国人に対して、日本語教育の充実を促す日本語教育の推進に関する法律が成立し、昨年6月に公布されました。労働力不足を背景に、ふえ続ける外国人の日本語教育ニーズの高まりとともに、人種や文化の違いを超えて理解し合う共生社会を目指すには、言葉の壁をなくすことは的を射ていると思います。ただ、法律の定めているほとんどが基本理念で、これをどのように具体的な施策として実現するかが、今からの課題となってくると思います。 法律では、国や自治体に日本語教育に関する施策に取り組むこと、さらには企業にも雇用する外国人や家族に対しても、教育機会を提供するよう努める責務があると明記しています。国は、文部科学省や外務省など関係機関と日本語教育推進会議を立ち上げ、専門家から意見を聞いた上で、教育環境の整備に具体的な取り組みを決めていくとしています。 この法律は同時に、地方公共団体の具体的な取り組みについても言及し日本語教育の機会拡充が求められていますが、県はどのように向き合い、具体的な施策の構築に向け進んでいくのか、知事の答弁を求めます。 また、法第28条関係の、地方公共団体に置く日本語教育の推進に関する審議会等では、地方公共団体に、基本的な方針その他の日本語教育の推進に関する重要事項を調査審議させるため、条例で定めるところにより、審議会その他の合議制の機関を置くことができるとあります。 本県においても関係条例を定め、審議会やその他の機関を置いてはどうかと思いますが、知事の見解を求めたいと思います。 日本語教育が必要なのは、まず高知県に住んでいる外国人の子供たちであると思います。県内の中山間地域では、日本語を学ぶ機会を必要とする方々の学習機会の保障がなされておらず、このことは、法の理念からいっても重要な取り組みの一つであると思います。特に中山間では、外国人に対する日本語ニーズに対して、人材や予算の不足などを理由に進んでいないため、日本語教育の空白地域となっています。 現在日本語理解が困難な児童生徒はどれくらいいて、学校教育における支援の状況はどうなのか、教育長に示していただきたいというふうに思います。 さらに、外国籍の子供たちの中学校卒業後の進路状況と、市町村に対する県教育委員会の指導対応について教育長の答弁を求めます。 昨年改正された出入国管理法は、外国人労働者の家族の帯同を可能とする特定技能2号が盛り込まれ、担い手が不足する中山間地域で、外国人労働者が増加していくものと思われます。 子供たちへの日本語教育について、今回の法律の施行に合わせた具体的な推進策が求められると思いますが、どのように対応していくのか、教育長の答弁を求めます。 昨年の4月、国土交通省は、農耕トラクターが作業機を装着したままで公道の走行が可能となるよう、道路運送車両法の運用を見直す基準の緩和に踏み切りました。それまでは、作業機を装着したトラクターは、公道を原則として走行できませんでしたが、農業における生産性向上を図るため、条件、制限等を満たしていれば合法とされることになりました。道路運送車両法による基準緩和と同時に、道路交通法との関係も相まって、トラクターに装着した作業機の大きさによっては、大型特殊免許が必要となりました。 道路交通法の小型特殊自動車は、その車長、車幅、車高を規定しており、トラクターは道路運送車両法の規定と同じ小型特殊自動車でも、作業機を装着した長さ、幅、高さによって道路交通法上は大型特殊自動車となり、大型特殊免許の取得がなければ運転できないややっこしさがあります。小型トラクターであれば、普通免許に附帯する小型特殊免許で公道を運転することは可能ですが、作業機を装着したトラクターが高さ2メートル、幅1.7メートル、長さ4.7メートル以上に該当する場合は大型特殊免許が必要となり、対象農家は免許取得の必要性に迫られています。 少し辛口な指摘となりますが、4月に道路運送車両法の運用を見直す基準緩和がなされ、通達を受けても10月に至るまで道路交通法との連動性の検討がなされていないことが、現場を混乱せしめる大きな要因になっていると同時に、行政の初動対応のおくれにつながっているのではないかというふうに思います。 その基準緩和に対応するため、高齢農業者が大型特殊免許を取得しようと自動車学校に問い合わせたそうですが、5月までいっぱいで早急の対応はできないと言われ、免許を取るには10万円くらいの費用がかかるので負担も大きいし、80歳近くになって今さら教習所に通うのもと、つぶやく始末です。とは言っても、作付は待ってはくれないので、田んぼも畑もたたかなければならない。トラクターが使えない状態では、耕作を行うにも準備することができず、このままでは田んぼも畑も放棄せざるを得ないかもと、嘆く農業者の声が聞こえてまいります。 厳しい中山間の農業を取り巻く環境を考え、優良な農地を耕作放棄地にしないように、よかれと思って行った基準緩和が逆に現場の混乱を招き、本県の農業に大きな影響が出ているというふうに思います。過日の梶原議員の大型特殊免許の取得機会の拡大や、合格率の向上に向けた対策についての質問に対し、しっかりと向き合うとの答弁がありました。農家にとっては死活問題で、早急な救済措置が求められます。 一人でも多くの農業者が、農耕車限定の大型特殊免許取得が可能となるよう取り組んでいただくことを、私からも要請しておきたいというふうに思います。 また、大型特殊免許や農耕車限定の大型特殊免許といえども、取得するためには多額の費用と時間がかかり、さらには高齢農業者にとっては合格することも容易ではありません。 少しでも農家の負担が軽減されるよう、免許取得に対して最大限の配慮をお願いできないか、農業振興部長の答弁を求めたいと思います。 近年、抗がん剤や放射線等がん治療の進歩により、不治の病とされてきたがんも完治する人がふえてきています。それと同時に、がん治療における長期的な影響に、目が向けられるようになりました。 がん治療において、有効な抗がん剤や放射線はがん細胞も破壊するかわりに、感受性の高い精子や卵子などの生殖細胞にも障害を与えてしまいます。その結果、がん治療によって子供をつくることができない若者が存在することが問題視され、治療による生殖機能低下における対策をとることが求められてきています。 15歳から39歳までの思春期、若年成人をAYA世代といいますが、小児と成人に好発するがんが発症する可能性がある年代で、肉腫などは特にAYA世代に多い特徴的ながんでもあるといいます。 今では、がんの治療前に情報提供がなされ、将来の妊娠を希望する患者が治療前に精子や卵子を採取し、未受精の状態で冷凍する技術が確立しています。生殖機能を保存する受精卵凍結は、不妊治療で行われている治療でもあり、妊娠率は通常の不妊治療とほぼ同等だとも言われています。 この生殖機能を冷凍保存する技術を妊孕性温存療法と言われ、それにかかる費用は、採卵から未受精卵凍結保存にかかる費用が約25万円、卵巣組織凍結保存に60万円、凍結卵巣組織の融解と自家移植術が60万円、精子保存は3万円、さらに年間の保存料は1万円と、おおよそ女性の場合150万円もの費用がかかってしまいます。現在、妊孕性温存療法は全て自費で行っており、実施できる施設も限られています。 治療までの時間の制約や経済的、地理的な問題もあり、妊孕性温存療法は全ての人がひとしく恩恵を受けられる治療法ではないかもしれませんが、全国で妊孕性温存治療のネットワークができたり、助成金を出している自治体もふえています。 本県でも、令和元年6月議会で西森議員から、妊孕性温存療法にかかわる助成についての質問がなされ、それを受けてのことだろうと思いますが、当初予算にがん患者が受ける妊孕性温存療法への支援として、妊孕性温存治療に要する費用70万円の補助金が組まれています。その助成制度における対象者の見込みと内訳について健康政策部長の答弁を求めます。 また、妊孕性温存治療を行うことができる医療機関は限られていると思いますが、どの医療機関で治療を行うことができるのか、健康政策部長にお示しいただきたいと思います。 このように、県が妊孕性・生殖機能の温存の助成を行うことで、子供を望むがん患者に希望を与え、がん治療に悩むAYA世代に対しても大きな力になると思います。しかしながら、幾ら助成制度を整えたからといって、この治療や制度を知らなければ絵に描いた餅となります。 そうならないように、県は、妊孕性温存治療や支援制度についてAYA世代に対してしっかりと情報提供に努めなければならないと思いますが、具体的な周知方法について健康政策部長の答弁を求めます。 個人・法人住民税は、自治体における基幹税目と言われ、市町村により地方税の徴収率に濃淡がありますが、本県は全国と比較して増加傾向にあります。高知県では全国に先駆け、個人住民税の特別徴収に取り組んできたことや、県内4つの租税債権管理機構と市町村との連携により、滞納処分や執行停止、不納欠損処分の適正な処理による積極的な徴収の成果があらわれてきています。今後とも、滞納の実態に応じた適切で効果的な徴収対策を講じ、さらなる高みを目指し、収入未済の縮減を図っていく努力を続けていただきたいというふうに思います。 また、税外債権については、債権管理条例が制定されたことにより整理が進んでいるのではないかと思いますが、実績と課題について総務部長の答弁を求めます。 特に、中小企業高度化資金貸付事業は、中小企業の経営基盤強化を図るため、国と都道府県が連携し、協業組合等に対して資金を融資する事業ですが、本県においても協業組合モード・アバンセに貸し付けが行われていました。この事業は、中小企業が長期低利で利用できる一方、経済情勢の変化に伴う企業側の資金調達の弱体化や経営不振などにより、返済計画の最終期限を過ぎても返済できず、完済が困難になっている事案がモード・アバンセ債権でございます。 協業組合モード・アバンセは、中小企業高度化資金と県単の産業パワーアップ融資が焦げつき倒産し、連帯保証人から長期分納されていますが、25億円分の債権に対し、月1万円少しの返済金でございます。これは計算上、完済までに2万1,000年以上、複数世代どころか、途方もない世代にまでかかわる可能性がございます。このことから、債務者の関係子孫は生まれながらにして、その借金を背負ってしまった後継ぎということになります。 当然、貸付金の原資は税金でありますから、回収すべきものはしっかり回収しなければなりませんが、こうした長期分納返済により、借り手側の次の世代における新たなチャレンジ機会の喪失や次世代にわたる債務の承継、さらには債権管理者コストの増大などの課題にも向き合わなければならないというふうに思います。 闇融資モード・アバンセ問題は刑事事件ともなり、県政において大きな汚点を残し、高知県の歴史上、最も巨額な不良債権ではありますが、中小企業基盤整備機構とも協議の上、債権整理が可能ならば、ピリオドを打つことも大きな政治決断だと思います。知事の見解を求めて、第1問としたいと思います。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 橋本議員の御質問にお答えをいたします。 まず、いわゆるSDGsについての理解の促進、取り組み意欲の醸成についてお尋ねがございました。 国連の開発目標でありますSDGsの達成を目指しました取り組みが、今全世界で進められております。こうした中で、今後県内企業の皆様がSDGsを意識して事業活動を行いますことは、リスクの軽減、また大きなビジネスチャンスを生む可能性があるというふうに考えております。 このため、第4期の産業振興計画におけます強化のポイントの一つといたしまして、県内事業者のSDGsを意識した取り組みの促進を位置づけました。このために、SDGsへの理解を深めるための講座の開催でございますとか、SDGsを意識した製品開発の促進などに取り組むこととしております。また、事業者のSDGsを意識した取り組みが広がりますように、事業戦略などの策定や実行へのサポートの中で助言をしてまいりたいと考えております。 さらに、県庁職員がSDGsを意識し施策を進めることを、現在改定作業中の県政運営指針に盛り込むこととしたいと考えております。日本一の健康長寿県づくり、南海トラフ地震対策、中山間対策など、県が行います各種の施策におきましては、SDGsの達成に資する取り組みが数多くございます。今後、SDGsを意識しながら、施策をさらにブラッシュアップしてまいりたいと考えております。 こうしたSDGsを意識した県の政策に、多くの事業者の方々や県民の皆さんに御参画いただくことは、SDGsへの理解促進と取り組みの意欲喚起にもつながるものと考えております。このため、SDGsと関連づけました政策の広報や情報発信、さらには県内事業者のSDGs達成に向けた取り組み事例の紹介などを積極的に行ってまいります。 次に、多文化共生社会実現への環境整備についてのお尋ねがございました。 外国人が暮らしやすい多文化共生の社会づくりを目指しまして、県ではこれまでも在住外国人の支援ですとか、県民の方々の異文化理解の向上に取り組んでまいりました。 在住外国人が増加するにつれまして、行政サービスや医療機関などの多言語化を初めといたしまして、多方面にわたる対応が一層求められております。このため県では、昨年1月に、外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応会議を設置し、外国人生活相談センターの開設でございますとか医療機関への電話通訳サービスの導入など、さまざまな取り組みを全庁的に進めているところであります。 現状では、条例制定の必要性までは感じておりませんけれども、多様な文化や背景を持つ人々が互いを認め合い、ともに生きるということができる地域社会の形成は重要な政策課題だと考えております。 今後とも、市町村や関係機関と連携をしながら、多文化共生の社会づくりに取り組んでまいります。 次に、ムスリム対応の必要性につきましてお尋ねがございました。 国の推計によりますと、2020年のムスリム人口は19.1億人、2030年には22.1億人の規模になると示されております。また、日本政府観光局の統計によりますと、昨年のマレーシアとインドネシアからの訪日客数は91万人を超えまして、過去最高を記録いたしております。 本県は、令和5年にインバウンド客の延べ宿泊者数30万人泊を目指しておりますので、この2カ国を初めといたしますイスラム圏は、目を向けるべき大きな市場であるというふうに考えております。そのため、関西空港を経由いたしました旅行商品づくりなどを通じまして、ムスリム旅行者の誘致拡大を図ってまいります。 また、食料品の輸出につきましては、イスラム圏のマレーシア、インドネシア、UAEにおきまして、商流の確保や食品見本市への出展などを通じました販路拡大を図ってまいりました。この結果、これら3カ国への食料品の輸出額も大きく伸びてきております。 今後とも、現地の商社と連携いたしまして、販路の拡大に向けまして取り組みますとともに、いわゆるハラール認証の取得に向けました支援などを行うことによりまして、さらなる輸出の促進を図ってまいりたいと考えております。 次に、よい外国人材に選ばれる地域社会になるための外国人材の定着支援についてお尋ねがございました。 外国人の方々に本県が選ばれ、定着をしていただくためには、安全に、そして安心して働き、暮らし続けることができる社会の実現が欠かせません。そのためには、日常生活におけます不安の解消や、職場や地域におけます受け入れ環境の充実が何より重要となってまいります。 そのため、県では、先ほど申し上げましたが、昨年5月に高知県外国人生活相談センターを開設いたしまして、医療や福祉、教育などのさまざまな相談に多言語で対応いたしております。2月の末までに外国人から172件の相談を受けまして、解決に向けたサポートを行っているところでございます。 今後は、地域での出張相談の機会を拡充するなど相談体制の充実を図りますことで、暮らしやすく、安心した生活が送れるように支援をしてまいります。また、職場や地域におけます受け入れ環境を整えますためには、円滑なコミュニケーションが欠かせません。そのため、地域や企業などでの日本語学習支援や異文化交流などによります地域での多文化共生に向けた取り組みを進めてまいります。 こうした取り組みを総合的に展開することで、外国人労働者にとって働きやすく住みやすい環境づくりを進めまして、高知県が働き続けたい場所として選ばれますように努力をしてまいります。 次に、外国人労働者の増加によります賃金上昇の抑制への影響についてお尋ねがございました。 外国人労働者が増加することで、賃金が抑制されるのではないか、いわゆる下方圧力が働くのではないかという御懸念の声はお聞きをしているところでございます。確かに、本県も今後人口減少が想定されておりますが、人口減少とともに経済の規模も縮んでいくと。そして、必要な労働力の規模も縮んでいくというような状況ですと、そこに外国人労働者が新たに入ってくるというのは、賃金の下方圧力になる可能性はあるかと思います。 しかし、本県は、人口減少下でも経済の規模は維持・拡大していくという方針で望みたいと考えておりますから、それに伴って必要となる労働力の総量も、それなりに維持され、また拡大していくと、そういう状態を目指さなければいけないと考えております。そういう状態のもとで不足いたします労働力の範囲内でありましたら、外国人労働者が入ってこられましても、賃金の下方圧力は働かないのではないかというふうに考えている次第でございます。 次に、日本語教育推進法に関します施策、また推進に関します審議会などについてのお尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えを申し上げます。 日本語教育推進法におきましては、地方公共団体の地域の状況に応じた日本語教育の推進のために、必要な施策を実施するように努めるものというふうにされております。現在県では、技能実習生などの外国人材や地域の在住外国人に対しまして、高知県国際交流協会など関係機関と連携いたしまして、日本語学習の支援に取り組んでいるところでございます。 具体的には、技能実習生を受け入れます企業への日本語講師の派遣でございますとか、レベルに合わせた日本語講座の実施、地域におけます日本語教室の開設の支援などによりまして、日本語学習の機会の拡充を図っているところでございます。来年度は、在留外国人や企業、地域のニーズに応じまして、技能実習生受け入れ企業向けの日本語指導講習でございますとか、地域での日本語教室の拡充など、取り組みをさらに充実させてまいりたいと考えております。 なお、ことしの6月ごろ国におきまして、この法律に基づきます日本語教育の推進に関します基本方針が取りまとめられるということになっております。今後、国が示しますこの基本方針の内容あるいは本県の実情を踏まえまして、本県としてどういった取り組みが必要なのかというのを、まず検討いたしたいと思います。その上で、審議会やその他機関の必要性の有無について判断をいたしたいというふうに考えております。 最後に、協業組合モード・アバンセへの貸付金の回収にピリオドを打ってはどうかというお尋ねがございました。 南国市で縫製業の協業化に取り組みました協業組合モード・アバンセへの貸付金に関しましては、これまで担保物件の処分や連帯保証人への請求などにより回収に努めてまいったところでございます。この組合の担保物件は全て処分されておりまして、現在は連帯保証人からの回収のみとなっております。その人数も、破産あるいは本人の死亡によります相続放棄によって減ってきておりまして、現在では4名の連帯保証人から返済を受けている状態でございます。 本県の高度化資金におけます不納欠損処分の基準となっております、主債務者及び連帯保証人の破産や本人死亡による相続放棄などに該当すれば、議会の議決を経て権利を放棄することは、制度上は可能であります。しかし、現状では、ただいま申し上げました4名の連帯保証人の方々は、この基準には該当いたしておりません。この債権放棄を、基準によりませず返済可能額の少なさを理由に特例で行うということは、他の貸付金を真摯に返済していただいています方々との公平性を担保する上で、適当ではないという考えでございます。 連帯保証人からの返済は少額でございまして、債権全額の回収が厳しいというのは御指摘のとおりだと思いますけれども、引き続き連帯保証人の収入や資産状況の把握などに努めてまいります。あわせまして、可能な限りの回収を図るなど、適切な債権管理に引き続き努めてまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。   (産業振興推進部長井上浩之君登壇) ◎産業振興推進部長(井上浩之君) イスラム圏の国々での販路拡大に向けた取り組みと今後の対応についてお尋ねがありました。 県では、まずは、アメリカ、ヨーロッパ、中国といった大きな市場を有望市場として位置づけ、輸出促進に取り組んでおりますけれども、イスラム圏の中で、UAE、インドネシア、マレーシアの3カ国については、経済力が増しつつある魅力的な市場であり、既に本県の食料品の輸出も始まっていることから、ポテンシャルの高い新興市場として位置づけまして、販路を広げているところでございます。 具体的には、平成30年度以降、UAEやインドネシアについては、現地の有力な食品商社を本県に招きまして、県内事業者との商談機会を設け、商流の確保に努めてまいりました。その上で、ドバイやジャカルタの食品見本市に出展するなど、現地商社と連携した販路拡大を進めているところです。この結果、3カ国への食料品の輸出額は、平成28年の約4,000万円から、平成30年は3倍になる約1億2,000万円まで増加してきておるところでございます。 今後も、現地食品商社との連携を密にしながら、食品見本市への出展やプロモーション活動などを通じまして、イスラム圏への輸出拡大を目指す県内事業者を積極的に支援してまいります。   (観光振興部長吉村大君登壇) ◎観光振興部長(吉村大君) ムスリム対応に関するこれまでの取り組みと成果、現状と対策についてお尋ねがありました。 県では、食事や生活習慣など、きめ細かな配慮が必要なムスリム旅行者の受け入れに向けて、県内事業者の理解が深まる取り組みを進めてまいりました。特に重要な食事の面では、飲食店や宿泊施設向けに、高知県観光コンベンション協会と連携して、食材や加工食品の制約を理解していただくなど、ハラール対応の啓発を行ってまいりました。また、生活習慣などの面では、宿泊施設や観光施設向けに、礼拝の習慣などへの理解を周知するほか、観光案内所向けには、ムスリム旅行者へのすぐれた対応をしている事例を紹介してまいりました。 こうした取り組みを通じまして、食材や加工食品をピクトグラムで明示していただいている店舗数は、2年前の12から現在48にふえ、徐々にではありますが、旅行者みずからが利用の可否を判断できるようになってまいりましたし、宿泊施設の一部では、ハラールに対応した料理の提供が可能となっています。 今後のムスリム旅行者の誘致拡大に向けましては、利用可能な店舗や宿泊施設の数をさらにふやしていく必要がありますので、引き続き事業者の理解が一層深まるよう取り組んでまいります。加えて、来年度からは、おもてなしに関する相談体制を構築しまして、事業者のニーズや課題に応じたムスリムへの対応も支援してまいりたいと考えております。   (地域福祉部長福留利也君登壇)
    ◎地域福祉部長(福留利也君) まず、介護現場の実態と人材確保の取り組みについてお尋ねがございました。 県が、本年度実施しました人材確保に係る介護事業所実態調査では、63%の事業所が人員不足を感じていると回答しています。その理由としては、採用が困難であるが最も多く、次いで離職率が高いとなっています。県では、こうした状況を踏まえ、介護人材の確保に向けて、新たな人材の参入促進と介護現場で働いている方の定着促進の両面で取り組みを強化してまいりました。これまでの取り組みにより、本年度の実態調査では、介護事業所における離職率が、平成28年度の15.8%から12.3%に低下するなど一定の成果が出てきておりますが、介護人材の確保は厳しい状況が続いております。 このため、新たな人材の参入促進では、福祉人材センターによるマッチングを初め、元気高齢者などを介護助手として受け入れる環境整備や外国人介護人材の確保対策の強化など、多様な人材の参入を促進してまいりたいと考えています。また、人材の定着促進では、本県が先駆的に取り組んでおりますノーリフティングケアを推進しますほか、介護福祉機器やICTを活用した介護業務の効率化を一層進めてまいります。さらには、介護事業所の認証評価制度の認証取得への支援を強化し、介護人材の確保に向けた魅力ある職場づくりを支援してまいります。 次に、本県における外国人介護人材の受け入れ状況についてお尋ねがございました。 県が外国人材の受け入れを支援する団体や介護施設等を通じて把握している、県内の特別養護老人ホームや老人保健施設などに雇用されている外国人介護人材は、ことし2月現在で、EPA、経済連携協定に基づく方が8施設で26人、技能実習制度に基づく方が7施設で14人、合計40人となっています。このほかに、本年度開校された介護福祉士養成校に、24人の外国人留学生が在籍しています。 次に、外国人介護人材の確保のための具体的な支援策についてお尋ねがございました。 県では、外国人介護人材のコミュニケーション能力と介護技術の向上を図るため、外国人材を受け入れた事業所に対して、日本語学習や介護に関する研修の費用を助成しています。 また、外国人留学生の経済的負担を軽減するため、介護福祉士養成校の学費などを貸し付ける修学資金制度を設けています。さらに、介護施設などが独自に外国人留学生に対して奨学金を支給する場合に、その経費の一部を補助するなど受け入れを支援しているところです。このほか、外国人の方が安心して生活することができるよう、受け入れ施設や高知県外国人生活相談センターと連携して支援に取り組んでおります。 最後に、外国人介護人材の日本語教育についてさらなる支援ができないのかとのお尋ねがございました。 本年度実施した介護事業所の実態調査では、外国人介護人材の活用に当たっての課題として、利用者との会話等の意思疎通や介護記録の作成に支障があるなど、日本語能力に関することが多く上げられています。このため、来年度から事業所が行う日本語学習への支援などに加えまして、県内の介護福祉士養成校に入学する前の日本語学校に在学している外国人留学生に対して奨学金を支給する介護施設などにも補助を拡大し、日本語習得の支援を強化してまいりたいと考えております。 あわせて、外国人介護人材の確保対策の強化に向けまして、来年度介護福祉士養成校や施設関係団体などと検討会を立ち上げることとしております。この検討会において、課題となっている日本語の習得などにつきまして議論を深めてまいりたいと考えております。   (商工労働部長近藤雅宏君登壇) ◎商工労働部長(近藤雅宏君) まず、県内における働く外国人の人数などの現状と課題についてお尋ねがございました。 本県における外国人労働者数は、昨年10月時点で3,141人が雇用されており、前年同時期と比較しますと549人、約21%増加しています。その内訳としましては、技能実習が1,972人で最も多く、全体の62.8%を占めています。次いで、永住者など身分に基づく在留資格が477人、高度専門職など専門的・技術的分野の在留資格が348人、一部就労が認められております留学生については256人となっております。また、昨年新たに創設されました特定技能は、昨年12月末時点で農業及び外食業分野の4人にとどまっています。 人手不足が顕著な1次産業や、建設業、製造業を初めとする県内企業では、外国人材に対する期待が高まっており、本県での外国人材の受け入れはこれからさらに進んでいくものと考えています。 一方、人手不足が深刻化する中で、外国人材の受け入れは地域間競争が激しくなってきており、今後いかに優秀な外国人材を安定的に確保していけるのかといった課題がございます。そのためには、制度が適切に運用されますとともに、相談体制の整備や日本語教育など、地域住民として外国人の方々が安全・安心に暮らせるよう、社会生活の支援をさらに充実させていく必要があると考えております。 次に、県内の外国人失踪者数と現状の問題、外国人就労環境についてお尋ねがございました。 警察からの情報提供によりますと、令和元年の本県の外国人行方不明者の届け出数は41人で、全てが技能実習生となっています。近年の技能実習生の増加に伴い、失踪件数も増加傾向にあることから、就労環境の把握や地域社会との共生に向けた取り組みが、ますます重要性を増していると考えています。 技能実習生の就労環境に関する労働局の資料によりますと、平成29年においては、労働時間や賃金など労働関係法令に違反した事業所は13で、県内受け入れ事業所全体の約4%となっています。いわゆる技能実習法においては、受け入れ事業所に対する管理監督は、法務省及び厚生労働省が所管する外国人技能実習機構が中心的役割を担い、定期的な実地検査などを行っています。 一方、都道府県には、技能実習法上の権限はございませんが、本県では、高知県中小企業団体中央会と連携して、監理団体や受け入れ事業所などを個別に訪問して、実習生の就労環境等についてヒアリングを行い、制度が適切に運用されますよう取り組んでいます。ヒアリングでは、定着に向けては日本語が十分にしゃべれないことに起因する実習先での孤立や、生活習慣の違いによる地域社会からの孤立の解消が何より必要との意見をいただいています。このため、実習生への日本語教育に加え、来年度からは受け入れ事業所を対象としたやさしい日本語教室など、日本語支援も実施してまいります。 引き続き、こうした取り組みを通じて関係機関との連携を図ることで、技能実習生の就労環境を把握し、地域社会で共生できるように取り組んでまいります。 最後に、失踪者が一定数に達した監理団体及び実施機関について、状況によっては監督官庁に停止措置を要請できないかとのお尋ねがございました。 技能実習制度の適正な運用については、外国人技能実習機構が、監理団体や受け入れ事業所に対して定期的な実地検査等を行い、計画に従った技能実習の実施や、賃金の未払い等の労働関係法令違反の有無などを確認しています。悪質な違反の場合には、改善命令や認定の取り消しの対象となり、厳正な対処がなされることとなっています。また、高知県中小企業団体中央会においては、平成27年度から県内の監理団体を対象に外国人技能実習制度適正化講習会を年3回程度開催し、監理団体や受け入れ事業所への指導強化を図っています。 県では、協同組合である県内監理団体に対して、中小企業等協同組合法に基づき、実施状況の聴取や指導を行っています。その中で、指導に従わない、または従わないおそれがあると認められる場合には、外国人技能実習機構などの行政庁に情報提供を行うこととしており、行政庁の処分等の判断にもつながるものと考えております。また、運営が著しく不当である疑いがあるときは、県として、同組合法に基づいて報告の徴収や是正命令を行うことが可能となっています。 こうした取り組みに加え、国や地方公共団体等により構成される四国地区地域協議会や、本県独自に設置しております連絡協議会等において、法令違反や生活関連の課題などの情報共有を図ってまいります。また今後は、監理団体や受け入れ事業所との定期的な情報交換を行うネットワークの場を創設するなど、制度の適正な運用に努めてまいります。   (警察本部長熊坂隆君登壇) ◎警察本部長(熊坂隆君) まず、不法就労外国人に対する県警察の対応についてお尋ねがございました。 不法就労外国人の態様につきましては、従来不法残留や不法入国という、いわば単純な形態であったものに加えて、近年、技能実習生が失踪して他所で就労する事案、表面上は正規の在留資格を有するもののその実態は在留資格に応じた活動を行うことなく専ら単純労働に従事するなど偽装滞在して就労する事案、偽造した在留カード等を行使して就労する事案など多様化し、年を追うごとに悪質かつ巧妙化しております。 これら不法就労事犯に対して、県警察では、出入国在留管理庁等の関係機関と緊密な連携を図りつつ、不法就労の撲滅に向けた厳正な取り締まりを推進しており、昨年1年間で外国人3名を検挙しております。また、不法就労外国人であることを承知で雇用し、その弱みにつけ込み労働搾取を図るなどの悪質な雇用者に対する取り締まりも推進しており、昨年1年間で、日本人1名とその企業である1法人を検挙しております。 一方で、不法就労を未然に防止するため、県警察では、関係機関と連携して、外国人技能実習生や受け入れ団体に対し不法就労の防止を強く訴えるとともに、外国人を雇用する際には在留資格や在留期間を十分に確認するよう注意を呼びかけるなど、広報・啓発活動を推進しております。 次に、外国人の不法滞在への暴力団の関与の状況と対応についてお尋ねがございました。 県警察では、平成21年に暴力団幹部等が中国人男性の在留資格を取得することを目的に、結婚の実態がない女性との婚姻届を役所に提出したとする偽装結婚事件を検挙しておりますが、この事件以降外国人の不法滞在に暴力団の関与が疑われる犯罪を把握していないのが現状でございます。 しかしながら、これまで都市圏に集中していた外国人が、技能実習生の増加等を背景に地方でもふえる傾向にあり、これにより県内の不法滞在者が増加すれば、治安に対する重大な脅威となるおそれがあることは、議員御指摘のとおりでございます。また、暴力団等の犯罪組織は、資金獲得を目的にさまざまな活動を行っており、今後偽装結婚を初めとした在留資格の不正取得に着目して、関与を強めてくる可能性は十分に考えられるところであります。 こうした状況を踏まえ、県警察では、暴力団の資金獲得活動の一つとして、外国人が関係する事件にも目を向けつつ暴力団に関する情報収集や実態解明を行うとともに、在留資格の不正取得等各種犯罪の取り締まりを推進しており、引き続きこれらの対策を徹底していく所存であります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、日本語理解が困難な児童生徒の数や学校教育における支援の現状についてお尋ねがございました。 昨年5月に文部科学省が実施した調査において、高知県内の公立小中学校に就学している外国籍の児童生徒数は、小学生が41名、中学生が25名の計66名となっております。各市町村教育委員会に問い合わせたところ、そのうちの19名--小学生が13名、中学生が6名が学校生活や日常生活を行う上で、日本語についての学習支援を必要とする状況にありました。 県教育委員会では、日本語の理解に困難がある児童生徒が複数在籍している学校に対して日本語指導教員を加配し、子供たちの支援を行っております。本年度は、小学校3校、中学校1校に計4名の教員を配置しております。また、高知市教育委員会では、学校外で週1回4時間程度の日本語指導教室を開催し、帰国・外国児童生徒支援補助員による日本語習得のための指導・支援を行っております。その他の市町村教育委員会でも、外国語が堪能な補助員を学校に派遣し、国語や算数等の個別指導を行ったり、翻訳ソフトの入ったタブレットを教員や児童生徒に貸与し、わからない日本語や外国語について調べながら授業を進めるような工夫を行っています。 このような県や市町村の対応によりまして、19名の子供たちについても確実に日本語教育の支援を行っているところです。 次に、外国籍の子供たちの中学校卒業後の進路の状況と市町村に対する県教育委員会の指導についてお尋ねがございました。 文部科学省が平成30年度に実施した調査においては、本県で日本語指導が必要な外国籍の児童生徒数は、小学生12名、中学生8名の合計20名となっております。この8名の中学生のうち、4名が調査当時に中学3年生であり、平成31年4月には4名全てが県内の公立高校へ進学しております。 外国籍の子供も含めて全ての児童生徒に必要な学力を身につけさせ、将来の社会的、職業的自立に必要な力を育み、進路を保障することは学校教育の重要な役割です。このため、日本語の理解に困難がある子供たちに対しては、県や市町村教育委員会において、教員や指導員を加配し、さまざまな教材の工夫を行いまして、日本語指導の充実を図っております。 また、日本語指導教員を配置する際には、市町村教育委員会による該当児童生徒に応じた特別の教育課程の編成、実施を県教育委員会として支援するとともに、実際の学習場面を参観しながら必要な助言も行っております。 一方で、外国籍の生徒を含む中学校卒業後の進路未定者については、学校との関係もなくなり、必要な手だてが十分でない状況も見られます。そのため、外国籍の生徒を含め卒業後1年間は、在籍していた中学校が卒業後の子供の動向を確認するとともに、若者サポートステーションや関係機関に情報をつなぐなど必要な支援を確実に行っていけるよう、市町村教育委員会との連携を進めているところです。 最後に、子供たちへの日本語教育についてどのように対応していくのかとのお尋ねがございました。 昨年6月に日本語教育推進法が施行となり、外国籍の子供たちに対して生活に必要な日本語及び教科の指導等の充実を図るため、教員の配置や養成、研修の充実、就学の支援等の施策を講じることとされました。 今後、日本語指導を必要とする児童生徒が都市部だけではなく、中山間地域にも増加することが予想されるため、県教育委員会では、日本語指導教員の配置に必要となる教員定数の確保について、国に対してしっかりと要望してまいります。 また、日本語を指導する教員の資質・指導力の向上を図るための研修会や日本語指導についての情報交換等を行う協議会の実施、さらには管理職や初任者を初めとする各種研修の実施を検討してまいります。 市町村教育委員会に対しては、国や県の補助事業を活用した日本語支援人材等の確保や、地域ぐるみでの外国籍の児童生徒の支援体制づくりなどを提案してまいりたいと考えております。 さらには、令和3年に開校予定の県立中学校夜間学級では外国籍の方々の入学も想定しており、必要に応じて正規の授業を開始する前の時間などに、日本語を学ぶ時間を提供できるように準備を進めてまいります。   (農業振興部長西岡幸生君登壇) ◎農業振興部長(西岡幸生君) 大型特殊免許の取得に関する農家の負担軽減についてお尋ねがございました。 このたびの基準緩和に伴い、新たに大型特殊免許の取得を希望する農家が多数おられ、自動車学校だけでは、早期に免許が取得できない状況となっております。自動車学校以外では運転免許センターにおいて、大型特殊免許に加え、農耕車限定の大型特殊免許も取得することができますが、大型特殊免許の試験は、乗りなれていない大型のホイルローダーで実施されるため合格率が低いこと、農耕車限定の大型特殊免許の場合は、農家みずからがトラクターを持ち込む必要があることなど、農家の負担は大変大きいものとなっております。 こうしたことから、県では、JAや農機メーカーに試験用のトラクターの貸し出しをお願いすることで、農家の負担を軽減し、運転免許センターでの農耕車限定の大型特殊免許の取得機会の拡大に取り組んでまいりました。さらに、現在合格率の向上を目指して有料の実技講習会を開催しておりますが、次年度につきましては、講師の報償費やトラクターの利用料などに対しまして国の補助事業を活用することにより、農家の皆様の負担を少しでも軽減していきたいと考えております。 今後とも、免許の取得機会の拡大や合格率の向上、農家の負担軽減に向けまして、取り組みの充実も図りながら、少しでも早く農家の皆様が免許を取得できますよう、運転免許センターやJA、農機メーカー等と連携して取り組んでまいります。   (健康政策部長鎌倉昭浩君登壇) ◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) まず、令和2年度当初予算案に計上しているがん患者を対象とした妊孕性温存の補助金制度における対象者の見込みと内訳についてお尋ねがございました。 妊孕性温存に関する助成につきましては、来年度の当初予算案に70万円を計上していますが、男性は1人当たり上限2万円で5人分、女性は同じく1人当たり20万円で3人分を見込んでいます。この人数につきましては、県内のがん診療連携拠点病院等から妊孕性温存に係る治療を実施している医療機関への紹介の実績、そして助成金額につきましては、他県の例を参考に見積もっているところでございます。 次に、妊孕性温存治療について、どの医療機関で行うことができるのかとのお尋ねがございました。 妊孕性温存に係る治療を実施するためには、一般的な不妊治療とは違って長期にわたる可能性があり、保存期間も未定であるため、長期間にわたって管理できる医療機関である必要があります。 女性の場合は、日本産科婦人科学会が認める医学的適応による未受精卵子、胚及び卵巣組織の凍結・保存に関する登録施設での治療を条件としており、限られたものとなります。県内では、高知大学医学部附属病院とレディスクリニックコスモスが、その登録施設になっています。一方、男性の場合は、そうした登録の仕組みがなく条件をつけないため、県として現時点で全て把握しているわけではありませんが、県内では高知大学医学部附属病院と高知医療センター、さらにレディスクリニックコスモスでは凍結保存ができるとお聞きしております。 なお、間もなく高知大学医学部附属病院を中心として、県内に妊孕性温存に係るネットワークが構築される予定ですので、今後県も一緒になって関係医療機関と連携して、円滑に妊孕性温存を実施できる体制を整えてまいります。 最後に、妊孕性温存治療や支援制度の具体的な周知方法についてお尋ねがございました。 議員のお話にもありましたように、円滑に妊孕性温存が実施されるためには、助成制度を創設することのみならず、妊孕性温存を必要とする患者に治療の内容や助成制度についてしっかり説明し、周知することが大切です。 県としましては、まずはホームページを初め、若者に届きやすいSNSなども活用して、広く県民に対してしっかりと周知してまいります。また、チラシ等による周知も図る予定ですが、その際、患者と直接接したり話す機会の多いがん拠点病院やがん相談支援センター等に従事しているスタッフに対して内容を丁寧に説明し、がん患者の方に確実に情報が届くよう努めてまいります。   (総務部長君塚明宏君登壇) ◎総務部長(君塚明宏君) 債権管理条例制定後の債権管理の実績と課題についてお尋ねがございました。 県では、平成29年の条例制定に合わせ、担当課では対応困難なケースの弁護士委託や回収困難な債権を条例に基づき放棄するなど、債権管理を強化してまいりました。この結果、条例施行前の平成28年度末で55債権、53億1,900万円余りの税外未収金は、令和元年度末で44債権、50億9,600万円余りの見込みとなっておりまして、この3年間で11債権、2億2,300万円余りの未収金が減少して、一定の成果が出ていると認識しております。 課題といたしましては、対象の債務者の数が多いことに加えまして、滞納の長期化に伴って相続の発生等により、対応が困難となっている未収金が多く残っていることが上げられます。これに対しましては、引き続き債務の承継者を特定の上、納付を促す交渉に努め、それでもなお回収が見込めない場合は、条例に基づく放棄を検討してまいります。また、そもそも滞納が発生した際の滞納者への早期対応を徹底してまいります。 ◆30番(橋本敏男君) 2回目の質問に入らせていただきたいというふうに思います。 ムスリムの取り組みについて、産業振興推進部長、観光振興部長、それぞれから答弁をいただきました。そしてまた、知事のほうからは、その必要性についての見解も述べられたところでございます。 これまでの取り組みでハラール対応やプロモーションなどを行ってきて、一定の成果も出ているというふうな答弁だったと思います。しかしながら、他県の取り組みと比べて非常におくれているのではないかなというふうに、率直に私は思います。実はことしの1月に、私と同僚の石井県議でインドネシア・ジャカルタのほうに調査に行かせていただきました。その現場で、それを痛感いたしました。高知って何、どこ、そんな状況だったというふうに思います。 それから、向こうに行って知ったのは、ハラール認証そのものが、今回制度化されたということでございます。ハラール認証がなければ、要はインドネシアのほうでは、商売はできない、物は売れないということが法制上決まったようでございます。今は、食品に絡めては5年間の移行期間ということでございますので、今からしっかりと、やっぱりハラール認証についても取り組んでいかなければならないというふうに思います。 また、インバウンド、誘客についても、旅行会社にもお邪魔していろいろ御意見等も聞かせていただきました。やっぱりハラール対応がないような状況では、非常に不安がっているということも一つおっしゃっていました。しっかりとしたハラール対応がなければ、なかなか誘客をすることもままならないというふうにおっしゃっていましたので、その対応についてもしっかりとしていかなければならないというふうに思います。 世界人口の4分の1を占めるムスリムでございますから、このムスリムを相手にビジネスをしていくためには、先ほど言いましたように、ハラールの対応はもちろん、ムスリム対応について、しっかり全力を挙げてやっていくべきなんだろうというふうに思います。知事もムスリム対応についての必要性も認めていらっしゃいますので、どうか強化していただくようによろしくお願い申し上げたいというふうに思います。 それから、外国人リクルートについてでございます。外国人リクルートの第1ステージ、外国からの労働提供に対して、その対価としてその地域のお金が海外に流れていくというのが、今の構図ではないのかなというふうに思っています。まるで、一昔前の出稼ぎのような印象さえ持ちます。家族のために自分を犠牲にして、食べるものも食べずに質素な生活をして、稼いだお金を家族のもとへ送金する。そういう実態が今あるのではないかなというふうに思うところでもございます。 それでは、本当の意味の地域経済の活性化にはつながっていかないのではないかなというふうに思います。それは、消費が喚起できていないからでございます。しかし、国の場合は特定技能2号という第2ステージをもう用意していただいているところでございます、その特定技能2号になれば家族の帯同も許されて、そして永住も可能性が出てきます。そういう枠組みに向けて、やっぱり高知のほうも第2ステージに向けた取り組みが必要なのではないかなというふうにも思います。 これは知事にお伺いしたいんですが、第1ステージから第2ステージに向けた施策の展開についてのお考え方をお聞かせいただければ、ありがたいというふうに思います。 先ほども、少し私触れましたけれども、今やっぱり都会のほうに外国人が集まっています。地方はいい外国人を得るために、争奪戦が繰り返されているのではないかなというふうにさえ思います。 過日の高知新聞に、国は外国人材の都市集中を是正すべく、外国人材の地域定着支援として、厚生省がモデル事業を行うと掲載されていました。この事業に手を挙げることはできないか、知事にお伺いをしていきたいと思います。 次に、規制緩和による作業機つき走行についてでございます。農業振興部長のほうから、農家の負担軽減について、ある一定前向きな答弁をいただいたというふうに思います。聞くところによりますと、担当課のほうでは、毎日数十件のそういう電話がかかってきて、その対応に非常に追われているというふうにも聞いております。農家も非常に不安がっていますので、できるだけ丁寧な対応をお願い申し上げたいというふうに思います。 これは、質問ではございませんが、本県における対応のおくれについては、国の基準緩和における通知のあり方にも、私は問題があったんだろうというふうに思います。もう少しきちっと整理をした段階で、要は通知をしていただければ、しっかりとした対応がとれたのではないかというふうに思いますので、このことに対して、また国に、機会がありましたら、しっかりと提言をしていただければありがたいというふうに思います。 それから、日本語教育推進法についてでございますけれども、日本語教育推進法そのものは理念法というふうに言われています。特に、しなければならないじゃなくて、することができるということになっておりますから--でも今やっと日本語教育推進に対して土台ができ上がったということだろうというふうに思います。地域のほうはそれの上に立って、しっかりとした枠組みを築いていただきたいということを申しておきたいというふうに思います。 2問目を終わります。 ◎知事(濱田省司君) ただいま御質問ございました外国人労働者の、いわゆる特定技能の問題についてでございます。 いわゆる1号から2号に上がる2階建ての制度が設計されたということに関してということでございますが、私の認識するところでは、今回の特定技能におきましては、賃金の水準も日本人と差をつけないと、同じ労働の中身であれば同じ水準でと。まさしく地域社会の一員としてしっかり受け入れていこうという理念の中で、2号という家族の帯同もできるような制度が準備されたということだと思います。 実際の運用はもう少し先になると思いますが、まさしくそういった制度も入っておるわけでございますので、先ほど来申し上げました土台となりますような、あるいは環境となりますような多文化共生の社会づくり、これを高知県内でもしっかりと進めていきまして、高知を外国人の方々にも気に入っていただいて、長く働き続けようと思っていただけるような環境にしていくということが大事であるというふうに考えております。 それから、ただいまお話がございましたモデル事業につきましてでございます。 こちらで、応募ができないかということを担当の厚生労働省に打診したようでございますけれども、これにつきましては要件がございまして、本県はこの要件に該当しないというような回答いただいたというふうに報告を受けております。 以上でございます。 ◆30番(橋本敏男君) 2回目の答弁ありがとうございました。 先ほど外国人については、特に私は、1つは、この高知で、高知に合った外国人をしっかりつくっていくという--言い方はまずいかもわかりませんが、そういう視点を持って対応していただければありがたいというふうに思います。 日本語の教育もしかりです。そういうことも含めて、ぜひとも今から多文化共生に向けて、高知県が全力を挙げるよう、よろしくお願いを申し上げまして、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(弘田兼一君) 暫時休憩いたします。   午後2時27分休憩-----------------------------------   午後2時50分再開 ○議長(桑名龍吾君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 7番土居央君。   (7番土居央君登壇) ◆7番(土居央君) 自由民主党の土居央でございます。 令和2年度は、濱田県政の事実上のスタートですが、この先の4年間、尾崎県政で残された課題である少子化と人口流出に歯どめをかけることと、いまだ全国水準の80%台にとどまる県民所得や労働生産性、その双方を解決していく処方箋をどう導くのか。そして、現下の新型コロナウイルス感染症問題や毎年のように繰り返される自然災害、また変化の激しい社会経済情勢や日進月歩の科学技術、さらにはSDGsなどの世界的潮流にどう対応していくのか。濱田県政の直面する課題は山積しておりますが、その解決に向け、建設的な議論をさせていただきたいと思っております。 今議会では、濱田知事に質問できる初めての議会ということで、基本的な知事の政治姿勢なども含め、以下質問をさせていただきます。 まず、高知市とのパートナーシップについて知事の政治姿勢をお聞きいたします。 今、県人口は70万人を割り、県内人口の47%、約半数が高知市に集中しています。今後もその割合はさらに高まると予測される中、県全体の均衡ある発展を図っていく中で、高知市との連携は今まで以上に重要になってくるものと思います。 御承知のとおり、昨年11月24日、濱田知事が初当選されたその日は、高知市では岡崎市長が高知市政初の5選を果たされた日でもあり、県都では今、岡崎市長のもと高知市型共生社会の実現に向け、県とともに前進を続けております。これまでの16年間を振り返りましても、南海トラフ地震対策や地方創生、そして教育分野を中心に、尾崎県政、岡崎市政のもとで、高知県、高知市の連携は深化をしてきたと感じています。 岡崎高知市長は、県に対する高知市の役割として、人口の県外流出を県都が押しとどめる人口ダムとしての役割、二段階移住政策の一次受け皿としての役割、れんけいこうち広域都市圏による周辺市町村との連携事業などを例に、高知市だけが生き残ればいいとは考えていないと述べ、県都として他の33市町村と連携しながら共存共栄を目指す考えを明確にしています。濱田知事も、共感と前進を県政運営の基本姿勢として、市町村との連携・協調のもと、施策をさらに発展させるとの考えを示されています。 そこでまず、濱田知事は岡崎高知市政をどう評価し、今後の高知市とのパートナーシップをどう深めていく考えか、まずは基本的な見解をお聞きいたします。 また、濱田知事が昨秋の知事選以来ずっと訴えてこられました関西圏の経済活力を呼び込む政策について、令和2年度予算でも最大の独自色として、関西圏との経済連携強化策を打ち出しておられます。経済波及効果が2兆円とも言われる2025年の万博を当面のターゲットとして、アドバイザー会議の設置や戦略の策定、実行のスケジュールが示されています。 こうした経済の新戦略を効果的、効率的に展開する上にも、県都高知市の役割は重要になってくるものと考えますが、県として、高知市にどのような役割を求め、連携していく考えか、知事にお聞きいたします。 次に、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略関連で質問いたします。以下、総合戦略で統一いたします。 今、国と地方は、総合戦略により地方創生の取り組みを全力で進め、国と各自治体が連動・連携して現状の人口減少時代に立ち向かっています。しかしながら、ことし1月総務省は2019年の人口移動報告を発表し、東京圏への15万人近い転入超過と、それ以外の39道府県での転出超過状態が明らかになり、東京一極集中が是正される兆しは見えてはいません。 本県でも、総合戦略、産業振興計画などの推進により、かつての全国的な景気回復局面の社会減の水準と比較して2分の1程度にまで改善しているものの、若者を中心に県外流出は依然続いています。このことからも、総合戦略の大きな柱であった地方への新しい人の流れをつくる政策については、その効果が発現されているとは言いがたく、今後も国、県、市町村が連動して取り組んでいかなければならない大きな課題です。 そこでまず、県内では令和2年度、全ての市町村が第2期総合戦略をスタートさせますが、第1期総合戦略での結果を踏まえて、県版総合戦略と市町村版総合戦略の取り組みの歩調をいかに合わせていくかが重要かと思いますが、どのように進めていかれるのか、産業振興推進部長にお聞きをいたします。 次に、総合戦略の地方への新しい人の流れをつくる政策に関して質問いたします。国の第2期総合戦略では新たに、都市部に住みながらも兼業・副業などで地方に貢献する関係人口の拡大を後押しする方針を打ち出しています。地方が都市部の人材と少しずつ交流を深め、将来的には移住につなげようという狙いがあるようですが、非常に息の長い話になりますので、具体的な取り組みが伴わなければ、かけ声だけに終わる危険もあろうかと感じています。 そこで今、この関係人口拡大を考える上で、都市部と田舎での二重生活を楽しむデュアラーと言われる二拠点生活者が注目されています。デュアラーは、リクルートホールディングスの2019年のトレンド予測で取り上げられたことで注目を集めた言葉でもありますが、かつて自然や趣味を満喫するために、毎月数日間を田舎で暮らすというようなライフスタイルは、富裕層が一時期を別荘で過ごすようなイメージでありましたが、最近では交通網の発達や、民泊やシェアハウス、ゲストハウスなど宿泊施設も多様化したこともあり、世代にかかわらず、より気軽に、リーズナブルに二拠点生活を楽しめるようになってきています。 私は、こうしたライフスタイルを将来の移住に向けたプレ移住と捉え、まずは第2の生活拠点としてもらうための取り組みは中長期的な視点からの移住政策として非常に有効ではないかと考えています。本県の場合、豊かな自然と食文化など、デュアラーが求める資源は豊富にあります。一方で、都市部との距離が遠く、移動コストや時間の面での課題もあります。 そこで今後、本県が関西圏との関係を深めていく中で、関係人口の拡大策として、比較的距離の近い関西圏の方々をターゲットとして、高知県での二重生活を楽しむデュアラーをふやす政策を強化してはどうかと考えますが、産業振興推進部長の所見をお聞きいたします。 次に、第4期産業振興計画関連で働き方改革について質問いたします。人手不足が全国的な課題となる中で、本県が産業振興に必要な人材を確保できる環境を整備するだけでなく、もっと大きな、人口の社会増減の均衡という目標の実現を目指していく上にも、私は、本県の産業現場への働き方改革の浸透が非常に大きな鍵を握るのではないかと考えます。高賃金による大都市圏の求心力に対抗するには、女性、若者の人材育成や、子育て、介護と仕事の両立など、働きやすく魅力的な仕事環境の総合力で対抗する以外にないと思うからでございます。 本県ではこれまで、ワーク・ライフ・バランス推進企業認証制度などにより、一定の成果を上げてきているものと思います。そこでまずは、今後ワーク・ライフ・バランス推進認証企業の着実な拡大に向けてどのように取り組んでいかれるのか、商工労働部長にお聞きをいたします。 次に、産業振興計画の視点から、デジタル化支援と働き方改革の一体的推進について質問します。これまでの総合戦略や産業振興計画でやり残した大きな課題は、県民所得の水準が低い、若者が流出する、人手不足が進行する、企業成長の壁となるというような悪循環の克服です。そこで、第4期産業振興計画では、各事業体における省力化、効率化による労働生産性の向上の支援などにより、経営と両立する形での働き方改革を進めることを目指しています。 しかし、昨年の県の労働環境等実態調査では、県内の働き方改革実施企業は42%、効果があらわれているとした企業はそのうちの約3割、つまり働き方改革に実際に取り組み、効果を上げている企業は全体の12%にとどまるという結果になっています。この結果から、本県は小規模企業が多く、限られた資源をフルに活用して、何とか生産あるいはサービスの提供を行っている状況から、労働条件や労働環境の改善をやりたくてもやれない、やったとしても効果を発現できないというジレンマを抱える企業が多いという実態があらわれたのではないかと感じています。 したがいまして、経営と両立する働き方改革の実現は、本県にとってもかなり難問であろうかと思いますが、その実現には、企業内における生産性向上と働き方改革を一体的に進めることが非常に重要だと考えます。 第4期産業振興計画では、世界的にAIやIoTなどの最先端デジタル技術の革新が社会、経済のあらゆる分野に変革をもたらしている中、デジタル技術と地場産業の融合を一層進め、付加価値や労働生産性の高い産業の育成を目指していますが、今後働き方改革のギアを上げていくためには、そうした取り組みを確実に働き方改革につなげていくモデルを蓄積し、成功例を標準化していくための仕組みづくりが必要ではないかと思います。 そこで、どのようにデジタル化による働き方改革を進めていくのか、商工労働部長にお聞きいたします。 次に、産業振興計画におけるイノベーション政策についてお聞きいたします。平成29年2月議会で私は、国の第5期科学技術基本計画と科学技術イノベーション総合戦略をもとに、文部科学省の地域科学技術指標2016のデータを踏まえて、本県のイノベーション政策について質問し、今後の本県産業振興における企業内の研究開発人材の育成とオープンイノベーションの必要性を指摘させていただきました。 現在、国では、統合イノベーション戦略として、これまでの施策や体系を大幅に整理、強化するとともに、2021年から5年間を見据えた第6期科学技術基本計画の策定作業を進めています。本県でも来年度予算案では、イノベーション政策の戦略的な展開として、土佐MBAでのIT・コンテンツアカデミーの充実や、Next次世代型の開発プロジェクトの推進、高知マリンイノベーションの推進、そしてオープンイノベーションプラットフォームの設置などが示され、本県のイノベーション政策も着実に前進しているものと感じています。 そこで以下、数点質問いたします。まず、オープンイノベーションプラットフォームについては、IoT推進ラボの取り組みを発展させ、さらに戦略的に県外企業等の技術や知見を取り入れることで新しいビジネスモデルやサービスの開発につなげるとともに、地域課題解決型の産業創出を図る仕組みだと認識しています。 県内のあらゆる分野の課題解決や、意欲的な研究開発に挑戦する県内企業のさらなる成長につながる可能性に期待をする一方で、参加する県内事業者と県外事業者、お互いウイン・ウインの成長にどうつなげるのかという課題もあろうかと思います。3年前の質問でも取り上げましたが、客観的データからも、本県の企業は研究開発に従事する人材数が全国一少なく、これは地域課題などのニーズに対応できるシーズを生み出す能力が全体的に弱いことを示しています。 だからこそのオープンイノベーションなのですが、このプラットフォームで、高い技術を持つ県外企業のモチベーションだけが上がり、県内企業が空洞化していくことがないように、参加する県内事業者と県外事業者、お互いがイノベーションの連鎖を生み出すような仕組みをどうつくるのか、商工労働部長の見解をお聞きいたします。 また、開発された新しい製品やサービスを外商拡大につなげるという、これまでの課題解決型産業創出の取り組みでの課題を踏まえた解決策にどう取り組んでいかれるのか、商工労働部長にお聞きをいたします。 次に、イノベーション人材の育成についてお聞きいたします。本県の人材育成事業の代表格が土佐MBA、まるごとビジネスアカデミーでございます。土佐MBAは、さまざまなビジネス知識やスキルを体系的に身につけることができる、地方自治体の人材育成事業として全国に誇れる学びのシステムだと思っています。 そして、その中に土佐FBC、フードビジネスクリエーターがあります。これは、食品産業に特化してその中核人材を育成することを目的に平成20年度からスタートし、これまで12年間に延べ557名の人材を輩出しています。注目すべきは、その受講生により開発された商品の売上総額が、平成29年までの10年間で20億円を超え、その経済波及効果を加えると約33億円に達しています。特徴として、年を重ねるにつれ年間の売上高は拡大しており、平成29年度だけで年間売り上げは約6億円、経済波及効果は約10億円を占めています。 このことは、土佐FBCは明らかに地域における一定の経済効果を生み出していることを証明するとともに、産業人材育成事業の成果を最大限発揮するためには事業を継続していくことが必要であるということを示しているのではないかと思います。 そこでまず、知事はこれらの産業人材育成事業についてどう評価されているのか、また、土佐FBCが13年目、土佐MBAが9年目を迎えるなど、長きにわたり継続されているということで、今後国費による支援の見通しは明らかではないと思いますが、県としての事業の継続と財政支援についての考え方を知事にお聞きいたします。 このように本県の産業振興計画は、一貫して各産業分野で新たな付加価値を生み出す仕組みづくりに、人材育成という視点でも後押しをしてきましたが、人口減少、人材不足が加速する中において今後も県内企業が成長を続けていくためには、産業現場で、今まで以上に効率化や新たな付加価値の創造が求められるようになってきています。 土佐FBCでは、食品産業分野で現場の要請に対応するべく、令和元年度から研究開発能力を身につけるためのコースを新設しています。企業の研究開発人材を育て、企業の中で研究開発が進み、イノベーションを生み出していける体質に変えていくことを促すことが狙いだと伺いました。 現状では、土佐MBAとしては、FBCやIT・コンテンツアカデミーなど、イノベーションを生み出すための研究開発に携わるような人材育成については、一部特化して実施していますが、イノベーションマネジメントシステムが今やISO認定されているという世界的な流れも踏まえ、今後、土佐MBAでも産官学の連携のもと、研究開発をマネジメントするという視点を持ったプログラムを充実させていく必要があるのではないかと考えますが、産業振興推進部長にお聞きいたします。 次に、過疎地域自立促進特別措置法が令和2年度末に失効することを踏まえ、過疎対策についての今後の県の対応について、高知市の視点からお聞きいたします。 過疎対策については、昭和45年に議員立法による過疎地域対策緊急措置法の制定以来、4次にわたる特別措置法の制定や延長を経て、今日まで総合的な過疎対策事業が実施され、過疎地域における生活環境の整備や産業振興になくてはならない制度として活用されてまいりました。 今、令和2年度末の失効に臨み、総務省の過疎問題懇談会や全国過疎地域自立促進連盟での議論などを踏まえますと、現行過疎法の期限以降も引き続き過疎対策を講じていくための制度が必要であるとの認識は国も地方も一致しており、新たな過疎対策法の制定に向けた動きが進んでいるものと認識しています。高知県でも昨年11月、次期過疎対策に向けた提言書を取りまとめ、過疎関係市町村とともに要望活動を実施したと伺っております。高知県の提言内容は、高知市を含む高知県次期過疎対策検討会での議論を経てのものであり、高知県の実情に即した内容になっています。 一方、総務省の過疎問題懇談会では、特に過疎対策の対象地域のあり方についてはさまざまな意見があり、一部には、ある程度大きな市の中の一部過疎地域はその都市の行政に委ねるという考え方や、都市型の低密度化地域--郊外地域への対応は別の枠組みとすべきという意見、さらに、ある程度の人口規模がある市町村は自主財源で対策を講じることが可能という観点から、人口規模の上限を加えてはどうかなど、一定規模の自治体を一部過疎の適用から除外するような議論もあるように聞いています。 県内には一部過疎適用の市町村は4市町あり、高知市は、平成の合併で吸収した旧鏡村・土佐山村を有することから、一部過疎の適用を受けています。除外が議論されている一定規模の自治体ということになれば、中核市である高知市がその対象となる可能性は排除できませんが、当制度は、高知市でも中山間地域の維持・発展になくてはならない制度として、適用が除外された場合の大きな影響について懸念するところです。 そこで、知事は、高知市における一部過疎制度の必要性についてどう認識しておられるのか、そして新過疎法についての提言活動の中でどう国に働きかけていかれるのか、お聞きいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症対策について質問いたします。 2月29日、県内初の新型コロナウイルス感染症が確認され、知事は、感染症対策は新たなフェーズに入ったとの認識を示されました。その後の県の対応や感染拡大防止策については、これまでの答弁で示されています。 予断を許しませんが、既に複数の地域で感染経路の完全な把握は難しく、厚生労働省や専門家からは、3月から4月にかけて国内でのさらなる感染拡大の可能性が指摘をされており、この問題の長期化が懸念されています。本県でも、店頭から感染防止のためのマスクやアルコール系の消毒液が消え、全国では客同士のトラブルも発生する例もあり、国民生活には不安も広がっています。 国は、感染拡大を受けて業界団体にマスクや消毒液の増産を要請し、マスクについては通常の3倍、消毒液については1.8倍の増産が継続される予定であります。あわせて、買い占めや売り惜しみをしている事業者等に自粛の要請を行うなどの対応をとっており、一刻も早い品薄状態の解消が待たれるところです。 本県においても、他県と同様にマスクなどの品薄状態が続いており、県民の不安は広がっています。県民への、手洗い、せきエチケットなど基本的な感染症予防対策のさらなる周知と、新型コロナウイルスに関する情報提供、広報活動を充実させることなど、県民の不安解消に向けた取り組みの強化を県になお要請いたします。 また、マスクや消毒液といった物資の不足は、医療や介護の現場にまで及んでいます。国内では、既に病院内で医療従事者が感染する事態も複数発生していることから、院内感染防止に必要な医療物資の確保は極めて重要になります。 国内の一部の病院では、マスクの供給が見通せない状況から、医療従事者にマスクの使用制限をするなど、コロナウイルスだけでなくさまざまな防疫体制の徹底を図る上で深刻な状況になっています。また、重症者への対応時に必要となる人工呼吸器の不足も心配をされているところです。 マスクについては、厚生労働省は医療機関に優先的に供給するようメーカーや販売会社に要請し対応を急いでいるとお聞きしていますが、マスクを含めて新型コロナウイルス感染症対策に必要な物資の確保について、県内医療機関の状況はどうか、備蓄状況や今後の確保の見通しも含め、県の認識を健康政策部長にお聞きいたします。 最後に、青年団について質問いたします。 かつて青年団は、県内各地に組織された地域の担い手集団としての役割を果たし、その活性化を支えていました。しかし、昭和、平成と人口減少が続く中、各地で次第に下火になっていったと聞いております。しかし、令和の今、少子高齢化と人口減少が続く中でも、何とかふるさとの繁栄や地域を盛り上げていきたいという意欲的な若者たちを中心に、青年団復活の兆しも見え始めています。 特に、農山漁村では、その活性化への苦心が続く中、若者みずからが自主的、主体的、積極的に地域にかかわり、さまざまな活動を企画、実行する青年団の役割が見直され、ともに地域を盛り立てていこうという機運も高まっている地区もあります。元気な地域は、青年組織が地域活動を担っています。地域おこしには、青年組織の存在と連携が大きな鍵を握っていると考えます。 そこでまず、知事は青年団に対し、どのような評価をされているのか、また何を期待するのか、お聞きいたします。 私は、青年団が、商工会や農協の青年部あるいは消防団などと並び、地域の仲間とともに社会に積極的にかかわるきっかけの場としても重要な役割を果たしていると感じています。地域に居住しているということだけでなく青年団に参加することで、地域の課題を理解し、仲間や地域の人々と協同して地域の課題解決につながるさまざまな活動を始めることは、本県にとっても非常に有意義です。 本県の青年団は、かつては300団体、約8,000人の団員がおりましたが、現在、高知県青年団協議会に所属する団体としては、8市町村、11団体、約200人だと伺っております。このうち、土佐市青年団は一昨年、30年ぶりに復活し、市職員や農家、会社員、学生、さらには警察署員まで幅広い職種の若者が参加し、県内最大の青年団になっています。また、四万十町松葉川地区でも、意欲的なリーダーの呼びかけにより地元の若者が参集し、昨年、これも30年ぶりに青年団が復活したとお聞きしました。 こうした青年団の動きが関係人口の増加を生み、外部からのアイデアも取り入れながら若者ならではの視点から、地域に新たな活力を生み出す原動力になるものと思います。 本県では、2060年、令和42年の県人口を55.7万人にとどめるという大目標を掲げています。そのためには、出生率の向上と社会増減の均衡の双方を達成せねばなりません。また、県内での高知市の求心力が強まる中で、それぞれの地域が努力をしていかなければなりません。そのため、さきの質問でも触れましたが、第2期総合戦略では、新しい人の流れをつくることや、結婚・妊娠・出産・子育ての希望をかなえる、女性の活躍の場を拡大すること、高齢者の暮らしを守り、若者が住み続けられる中山間地域をつくることなどを主な目標にしていますが、この実現には地域の青年の力が必要です。高知県青年団協議会の森岡代表は、私との意見交換の中で、青年団はこうした目標の追求に大いに貢献できるということを力強く話してくれました。 こうした活動は、中山間の振興なくして県勢浮揚なしを標榜する本県にとりましても大変有意義な、若者による自主的な取り組みであり、人口減少と過疎化が深刻化した現代においては、青年団活動の重要性はこれまで以上に増しているものと考えます。 本県は、既に青年団への一定の支援があることは承知をしていますが、こうした状況を鑑み、青年団を再評価し、その活動の検証と結果を踏まえた支援体制の強化を県としても図っていくべきだと考えますが、教育長の見解をお聞きいたします。 以上、1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 土居議員の御質問にお答えをいたします。 まず、高知市政の評価と、高知市とのパートナーシップについてお尋ねがございました。 高知市におきましては、平成15年に岡崎市長が就任して以来、徹底した行財政改革によって財政再建を進めてこられました。こうした厳しい財政状況の中でも、喫緊の課題であります南海トラフ地震対策を初めといたしまして、保育料無料化、医療費助成の拡充などに取り組んでこられました。 また、県と高知市は、県・市連携会議などの機会を通じ協議を重ねてまいりまして、産業振興や南海トラフ地震対策、教育の充実など幅広い分野で緊密に連携した施策を進めております。 例えば、県と市が一体となりましてオーテピアを整備する、また運営するということを行いますとともに、県市で役割分担を行いながら、本県の誇るよさこいの振興などに取り組んでいるところでございます。また、教育分野では、県の指導主事を高知市に派遣いたしまして学校の授業改善を支援するなど、子供たちの学力向上に向けてともに取り組んでおります。さらに、議員のお話にもございましたように、高知市では、県及び各市町村と連携し、二段階移住を初めといたしますれんけいこうち広域都市圏の取り組みも進めているところです。 こうした高知市の取り組みは、市の発展に資するのみならず、本県全体の活性化にも大いにプラスの効果をもたらしていると考えております。 また、現在も、重大かつ喫緊の課題であります新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けまして、高知市と連携して徹底した対応に努めているところでございます。 いずれにいたしましても、本県人口の約半分を占めます高知市との連携・協調は、県勢浮揚のためでも、また危機管理対応を行う上でも、必要不可欠であると強く認識いたしております。今後も、岡崎市長との信頼関係のもと、県と高知市との連携を一層強化いたしまして、各般の施策をともに推進してまいりたいと考えております。 次に、関西圏との経済連携戦略の展開におけます高知市の役割などについてお尋ねがございました。 これまで、産業振興計画におけます地産外商の推進に当たりましては、市町村との連携・協調を意識して取り組みを進めまして、成果につなげてまいりました。関西圏との経済連携戦略につきましても、特にこの点を意識して策定し、実行していくということで、県内全体に経済効果をもたらしたいと考えております。このため、戦略の策定に当たりましては、県内7ブロックで開催する産業振興計画フォローアップ会議の場などを通じまして、市町村長の皆様からも御意見をいただきまして、この戦略に反映をさせていきたいと考えております。 特に高知市につきましては、他の33の市町村と高知市が形成しておりますれんけいこうち広域都市圏の取り組みと連携していくことが、非常に効果的であるというふうに考えております。この広域都市圏の観光面の取り組みといたしまして、高知市の中心市街地に外国語にも対応できる観光案内所を設置いたしまして、各市町村の観光情報を発信するということによりまして、県内各地への周遊を促進しているといった取り組みがございます。また、高知市を交通の結節点といたしまして、県内の新たな広域観光周遊ルートの開発も進められております。 こうした取り組みと連携をすることで、関西からの外国人観光客などを中心といたしました効果的な誘客につながるというふうに考えておりまして、高知市と協力して取り組みを進めてまいりたいと考えております。 次に、産業人材育成事業の評価、そして事業の継続につきましてお尋ねがございました。 本県の産業が将来にわたって持続的に発展していくためには、産業の成長を支え、また将来を担います新たな事業を生み出す人材を育成することが大変重要でございます。 産業人材の育成プログラムでございます土佐まるごとビジネスアカデミー、通称土佐MBAと申しておりますが、こちらで学んだ方はこれまでに延べ2万4,000人を超えまして、大変多くの方々に御活用をいただいております。また、現在県の寄附講座として高知大学で実施しております土佐フードビジネスクリエーター人材創出事業、こちらは通称土佐FBCと称しておりますが、これは土佐MBAの専科として位置づけているところでございます。昨年度からは、国の交付金も得まして、新たに本県の食品産業の高付加価値化に向けました研究開発を行います人材の育成にも取り組んでいるところでございます。 これらを受講された方々は、さまざまな産業分野におきまして、学びを自社の成長につなげられまして、新たな事業、あるいは外商活動などにも積極的にチャレンジされておりまして、人材育成への手応えを感じているところであります。 第4期の産業振興計画におきましては、IoTやSDGs等の視点を企業経営に生かす講座を新たに設けるということなど、土佐MBAのバージョンアップを図るということにいたしております。今後とも、時代の変化を的確に捉えながら、産業人材の育成に積極的に取り組んでまいります。 また、土佐FBCは、本県の強みであります食材を使って高付加価値の商品を生み出す人材を育成するというために大変重要な役割を果たしてまいりました。これまでの12年間の実績も踏まえながら、今後運営面も含めてどのように土佐FBCを進化させていくのか、実施主体となっていただいております高知大学とも十分協議しながら進めてまいりたいと考えております。 次に、新たな過疎対策法に関連いたしまして、いわゆる一部過疎制度の必要性、国への働きかけについてお尋ねがございました。 現行の過疎地域自立促進特別措置法におきましては、高知市の中の旧鏡村や旧土佐山村のように、合併前の市町村を過疎地域とみなします、いわゆる一部過疎の取り扱いがなされているところでございます。 こうした一部過疎地域でございましても、環境保全や水、食料の供給など、全国に恩恵をもたらす多面的で公益的な機能でございますとか価値を有している、こういう点におきまして、通常のいわゆる過疎地域と何ら変わりはないところでございます。また、同じ市町村内でございましても、人口減少や高齢化の進行に伴います担い手不足、あるいは生活・生産基盤の弱体化といいました課題に直面をしているという地域でもございます。 本県の一部過疎地域は、県内でも人口減少率が極めて高い地域でございまして、こうした課題はより一層深刻となっております。そのために、産業振興、あるいは集落の維持・活性化に向けまして、引き続き過疎対策を講じていくことが不可欠であります。 こうしたことから、県と関係市町村が共同で取りまとめをいたしました提言におきましては、こうした一部過疎地域を引き続き法律の対象地域とするように求めております。また、一部過疎地域を含めまして、過疎地域において必要な行政サービスを提供するために過疎対策事業債、いわゆる過疎債でございますが、これなどの財源を十分に確保し、市町村の財政基盤を確保するということも提案いたしております。 今後、新たな過疎対策法の制定に向けまして、一部過疎地域の取り扱いの継続など、本県の提言内容が実現いたしますように、関係国会議員及び関係省庁に対する働きかけをしっかりと行ってまいります。 最後に、青年団に対しましてどのような評価をし、何を期待しているのかというお尋ねがございました。 本県の青年団は、戦後間もなく前身となります団体が発足して、現在に至っております。長い活動の歴史があるわけでございます。昭和の南海大地震の際には、団結した青年たちのネットワークとフットワークが復旧の大きな原動力になったというふうにお聞きいたしております。現在も、自己の向上にとどまらず、地域や郷土の発展に寄与したいということで、スポーツや文化活動、ボランティアなど地域に根差した活動に取り組んでくださっているという認識をいたしております。 加えまして、そのネットワークを生かしまして、婚活イベントでございますとか、地域住民との協働によります防災学習会を開催するなど、県の施策の推進にも直接的に寄与していただいているところでございます。 青年団の若い方々ならではの行動力は、少子高齢化が進む中、地域に大きな活力を与えるものと高く評価をし、大変頼もしく、またうれしく思っているところでございます。 青年団は、若い方々が集いまして、一人では解決が難しい地域の課題に組織として取り組まれております。このような組織は、将来にわたって活力あるふるさと高知の持続的な発展を目指す本県にとりまして、なくてはならない存在だと考えております。今後も、本県の青年団が大事にされております、まずは動くとの姿勢で、本県の地域活動を牽引していただくことを大いに期待しているところでございます。 私からは以上です。   (産業振興推進部長井上浩之君登壇) ◎産業振興推進部長(井上浩之君) まず、第2期総合戦略における県と市町村の歩調を合わせた取り組みについてお尋ねがありました。 第1期の総合戦略につきましては、県と市町村の総合戦略を両輪としまして、お互いが連携・協調して取り組むことを基本に推進してまいりました。その結果、雇用の創出や出生率の向上などにおいて一定の成果が見られたところでありますが、人口の社会増減の均衡に向けてはまだ道半ばの状況にあり、さらに力強い取り組みが必要であると考えております。 このため、より一層県と市町村がベクトルを合わせ相乗効果を発揮していくことが重要と考え、第2期の戦略の策定に当たりまして、全ての市町村長と意見交換を行い、課題の共有や今後の取り組みの方向性の確認などを行ったところであります。 その結果、移住促進策を初め、ファミリー・サポート・センターや集落活動センターなど、市町村と歩調を合わせて進めることが重要な県の施策が、市町村の総合戦略にも位置づけられましたし、市町村の御意見も踏まえ、県の各種の施策も強化することとしたところでございます。 第2期戦略に掲げた目標の達成に向けまして、こうした取り組みを、それぞれがPDCAサイクルを回しながら着実に推進することが重要であり、引き続き産業振興推進地域本部を中心に取り組みを支援いたしますとともに、市町村の総合戦略に位置づけられました市町村独自の取り組みにつきましても、しっかりとサポートしてまいりたいと考えております。 次に、関西圏と高知での生活を楽しむデュアラーをふやす政策の強化についてお尋ねがありました。 デュアラーと言われる方々、すなわち二拠点生活者は、趣味や仕事、子育てなどを目的に都会と地方の2つの生活を楽しむ方々であり、現在増加傾向にあると言われております。こうしたデュアラーの方々は、まずは関係人口として、さらには兼業・副業などを通じた地域の産業の担い手として、そして将来的には移住者として、地域への貢献が期待できる方々だと考えております。 本県には、デュアラーが地方に求めるという豊かな自然や食に加えまして、人の温かさも有している一方で、都市部との二拠点生活を送るためには、移動にかかる時間的、経済的な負担が課題となってまいります。このため、御提案のありました、こうした負担が少なくて済む関西圏からデュアラーを呼び込む取り組みを進めるということは、有効ではないかというふうに考えておるところでございます。 来年度は、さらなる移住促進に向けまして、交流人口や関係人口の拡大、創出を図るために高知家プロモーションと提携もし、本県の出身者や本県ゆかりの方々、あるいは本県ファンの方々などへのアプローチを強化することとしております。また、移住促進・人材確保センターにおきまして、都市部の人材の志を満たすような兼業・副業の掘り起こし、それからマッチングを推進することにもしております。 こうした強化策は、デュアラーへのアプローチにも有効と考えておりますので、特に関西圏を意識して積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 最後に、土佐MBAでの研究開発をマネジメントするプログラムの充実についてお尋ねがありました。 本県経済が持続的に発展をしていくためには、各企業において新しい付加価値を生み出すイノベーションスキルを持った人材を育成することに加え、議員のお話にありました、事業化に向けて企業が組織的に支援する、すなわちイノベーションをマネジメントできる仕組みが整っていることが重要だと考えております。 企業におけるマネジメントを進めていくためには、まずは経営層が、自社の資源や強みを生かしつつ、オープンデータなどの活用や社外との連携も視野に、新しい事業展開に取り組もうという意識を持つことが重要だと考えております。このため土佐MBAでは、経営戦略コースや事業マネジメント・業務改善コースの中で、経営層の意識醸成を図っているところです。 また、イノベーターの育成に向けましては、社内起業家、いわゆるイントラプレナーの育成支援プログラムを開催するとともに、イノベーションスキルのアップのためにはこれまでとは異なる層の方々との出会いも重要だと考えておりまして、大学等の新しい技術や研究を知り、交流や連携のきっかけとなるようなセミナーや意見交換の場も設けているところです。さらに、来年度からは新しく、首都圏等のスタートアップとのコラボレーションを通じまして、新しい事業展開を目指す事業者や起業家の育成とビジネスの創出につなげる事業も実施してまいりたいと考えているところでございます。 今後とも、県内の大学や専門家の御意見もお聞きしながら、イノベーションマネジメントやイノベーションスキルを学び実践するプログラムのさらなる充実に向けまして、土佐MBAのバージョンアップを図ってまいりたいと考えております。   (商工労働部長近藤雅宏君登壇) ◎商工労働部長(近藤雅宏君) まず、ワーク・ライフ・バランス推進認証企業の拡大に向けた取り組みについてお尋ねがございました。 県では、仕事と生活の調和に積極的に取り組む企業をワーク・ライフ・バランス推進企業として認証する制度を設け、企業の働き方改革の取り組みを促進しています。平成29年度までの次世代育成支援や介護支援の2部門に加えて、30年度からは健康経営や女性の活躍推進、年次有給休暇の取得促進など5部門に拡大することで、企業の取り組みの幅を広げてまいりました。 推進体制としては、本年度から社会保険労務士であるワーク・ライフ・バランス推進アドバイザーが、働き方改革推進支援センターと連携して企業訪問を行い、掘り起こしや助言を行っています。特に、健康宣言企業や育児休暇・育児休業取得促進企業など意欲の高い企業を訪問することで認証企業の拡大を図りました結果、30年度の延べ233社から、現時点で延べ344社に拡大してまいりました。 今後は、引き続き意欲の高い企業を戦略的に訪問するとともに、優良モデルの事例集を作成し広く県民に周知することで、企業の人材確保などの後押しと幅広い企業への横展開を進めてまいります。さらには、今後ますます求められる男性の育児休業の取得に取り組みやすいよう、認証要件の見直しを行うとともに、認証や更新に係る手続の簡素化を図ることにより、認証企業の拡大に取り組んでまいります。 次に、デジタル化による働き方改革の推進についてお尋ねがございました。 県内企業が働き方改革を進める上で、生産性の向上などを実現する手段としてデジタル技術を導入することは大変重要であると考えています。 働き方改革につながるデジタル技術としては、総務系では会計や労務管理システム、事務作業を自動化するRPAなど。工場などでは工程管理や遠隔管理システムなど。また、レジのキャッシュレス化などで現金や在庫の管理を省力化していくことも、その一例だと思います。 これらは専用のシステムを開発するケースもございますが、市販のパッケージ製品を導入することで実現できるものも多くあります。パッケージ製品の導入に当たっては、最近では月々の定額の利用料金を支払うモデルも普及してきており、中小企業でも導入しやすい環境が整ってきています。 このため、県では、こういったデジタル技術を導入しようとする県内企業の相談窓口として、昨年4月にデジタル化総合相談窓口を設置しており、相談のあった企業に対しては、アドバイザーの派遣や県内のIT企業等とのマッチング支援、国のIT導入補助金制度の紹介などを行っているところです。 引き続き、デジタル化総合相談窓口で企業の相談に応じるとともに、具体的な成功事例について、セミナーでの発表や優良モデルの事例集などにより広く県内企業に紹介していくことで、デジタル化による働き方改革につなげてまいりたいと考えています。 次に、オープンイノベーションプラットフォームの取り組みにおいて、県内外の事業者によるイノベーションの連鎖の仕組みについてお尋ねがございました。 オープンイノベーションプラットフォームの取り組みを推進していく上で、県内企業に主体的に参画いただくための仕組みをつくることは、大変重要なことであると認識しています。そのため、プラットフォームを運営する企業を選ぶプロポーザルでは、県内の産業構造や企業の現状と課題に対する認識を問うなど、県内の事情に一定通じた企業を委託先として選定するための工夫をしております。また、県内企業を対象としたオープンイノベーションの意義やメリットなどに関するセミナーを開催するなど、機運の醸成を図ってまいります。 さらには、プラットフォームの取り組みにおいて、県外企業が県の補助金を活用して製品開発を行う場合には、県内企業を含む3社以上でコンソーシアムを組成することを要件とすることで、県外企業にも県内企業と組むことを促進する仕組みとしております。県内企業にとりましては、高い技術を有する県外企業と組むことで、技術力の向上やノウハウの蓄積、さらには人脈の形成などのメリットが享受できるのではないかと考えております。 これらの取り組みを通じて、新たなチャレンジをしようとする意欲的な県内企業の掘り起こしと、その事業活動を支援することで、県内企業によるイノベーションの創出などにつながるよう取り組んでまいります。 最後に、これまでの課題解決型産業創出の取り組みでの課題と解決策についてお尋ねがございました。 県では、平成28年度から課題解決型の産業創出の取り組みを進めてまいりましたが、この中で、さらに外商につなげていくため、より市場性を意識した製品開発が必要という課題が見えてまいりました。そのため、新年度からのオープンイノベーションプラットフォームの取り組みを進めていくに当たり、製品の市場性を高めるという視点で幾つかの改善を行うこととしています。 具体的には、まず、あらゆる分野から抽出した課題について、ビジネス展開が期待できるかどうかといった市場性の有無の視点を中心に精査を行った上で、県内企業等で構成するIoT推進ラボ研究会の会員に公開することとしております。また、県内企業が製品等の開発に着手しようとする際に、市場を意識した取り組みがなされるよう、事前の市場調査や試作品の開発に対する補助制度を新たに設けたいと考えております。さらには、製品開発の補助金を申請する際には、性能や仕様だけではなく、想定する顧客や価格、販売方法などを計画として取りまとめることを求め、審査に当たっても計画の妥当性の評価にウエートを置くこととしています。 これらの取り組みに加えて、プラットフォームの運営を委託する企業が有する知見やノウハウを活用した伴走支援、また、県や産業振興センターによる展示会への出展などの外商活動の支援を通じて、開発された製品やサービスの販路拡大を図ってまいります。   (健康政策部長鎌倉昭浩君登壇) ◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 医療機関における、マスクを含めた新型コロナウイルス感染症対策に必要な物資の確保についてお尋ねがございました。 県内全ての医療機関における必要な物資の確保状況の把握はしておりませんが、2月3日以降、帰国者・接触者外来を設置している医療機関に対しては、医療用マスク等の感染防護具の在庫量調査を実施しています。現状では、一定量の備蓄がされており、直ちに不足する状況にはないものの、県内で感染患者が確認されたことから、今後受診患者が増加し、それに伴って感染防護具の使用量も増加が見込まれるのではないかと考えています。 一方、医薬品及び医療機器の卸売販売業者にも感染防護具の在庫量の調査を行っておりますが、現状では調査を開始した2月12日の在庫量に対して医療用マスクが約50%、消毒薬が約25%減少していることに加え、入荷のめどが立っていないことや、県内での感染者の確認を受け医療機関からの発注が増加傾向にあるとお伺いしています。 そうしたことから、県では、医薬品及び医療機器の卸売販売業者に対して、帰国者・接触者外来を設置している医療機関で感染防護具の不足が生じた場合には、当該医療機関に優先的に供給していただくようお願いをしているところです。 また、国も、感染症指定医療機関または帰国者・接触者外来医療機関を対象に新型コロナウイルスの確定患者を受け入れている都道府県において、医療用マスクの備蓄量が国が定める標準量を下回った場合には、当該都道府県等の要請により、医療用マスクを優先供給するスキームを構築しています。本県では、N95マスクが、国が定める標準量である1万枚を下回っているため、国に対して要請を行っています。 医療機関におけるマスク等の感染防護具は、医療従事者を感染から守り、安定的に医療を提供する上で欠かせないものでございます。県としましては、引き続き医療機関等の医療用マスクを初めとする感染防護具の在庫量の推移を見ながら、不足する場合には国に優先供給を要請するなどの対策を講じ、まずは感染症指定医療機関や帰国者・接触者外来を設置している医療機関の感染防護具が不足することがないよう努めてまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) 青年団の活動の検証と評価を踏まえた支援体制の強化についてお尋ねがございました。 県教育委員会においては、生涯学び続ける環境づくりと安心・安全な教育基盤づくりを取り組みの柱の一つとし、人づくり、地域づくり、つながりづくりを推進しております。青年団においても地域の活性化や人、団体との交流を積極的に図っており、県の事業の推進にも大いに貢献いただいております。こうしたことから県教育委員会は、これまでにも青年団を支援し、協働した取り組みを行ってまいりました。 特に、中山間地域の多い本県においては、若者の組織である青年団の存在は、防災・減災の機動力となり、地域の方々に安心感をもたらします。また、青年団の活動により、地域の交流人口が増加し、新しい人の流れが生まれることで地域づくりに結びついております。さらに、地域の大人や子供といった異なる世代のつながりや、地域を超えた人とのつながりなど、新たなネットワークの創出にも大きな力を発揮しております。このように、青年団は地域づくりやつながりづくりに大きく寄与してくださっていると認識しております。 このようなことから、県教育委員会としては、子供の自然体験活動の推進や生活習慣の定着の取り組みに関連した事業など、青年団の強みであるコーディネート力、ファシリテート力が生かせる活躍の場を提供してまいりたいというふうに考えております。また、県内の社会教育団体が一堂に会して実践交流し、団体同士のつながりを構築する社会教育実践交流会の実行委員として、企画、運営に参画する機会を提供するなど、今後もさまざまな活動に連携して取り組んでまいります。 ◆7番(土居央君) それぞれ御答弁ありがとうございました。おおむね納得できる御答弁をいただいたんじゃないかと思っております。 一つだけ質問をさせていただきます。商工労働部長にお聞きいたします。 オープンイノベーションプラットフォームのところで御答弁はいただきました。プロジェクトに参加する企業についてのプロポーザルという話をいただいたと思うんですけれど、以前いただいた資料で、この運営に当たるのがノウハウや人脈を有する企業に委託するということですけれど、これがオペレーターということで、オペレーターが運営するということになっているんですね。 ただ、そのオペレーターの主な役割というのが、プラットフォームの運営、課題の深堀り、精査、首都圏コミュニティーとの連携、開発チーム組成の支援、製品開発に対する伴走支援等、多岐にわたっておるわけでございますが、こういったことを見たら、そのオペレーターの役割というのが非常に大事になってくるんだろうと思います。これだけの役割を求めるんでしたら、委託契約の内容とかも問われてくると思うんですが、これだけこなせる企業とは、どんな企業を想定しているのかということと、オペレーターの役割がすごく多岐にわたっているんで、県として、これ丸投げになってしまってはいけないんじゃないかというような気がしております。 課題解決に向けたアウトカム、成果であるとか、アウトプット、実装に向けた司令塔機能的なものはやっぱり県がしっかり担っておく、確保しておくべきだと思うんですけれど、その辺のプラットフォームの推進体制、組織体制についての考えを、2問としてお聞きいたします。 ◎商工労働部長(近藤雅宏君) オープンイノベーションプラットフォーム全体の運営そのものをノウハウのある企業に委託するという考えでございます。これまで、案件の掘り起こしが大分進んできておりまして、100件、200件というふうになってきておる中で、県の商工労働部の職員だけでさばいていくということは、非常に厳しい状況にもなっておりました。そこへ、専門のノウハウを持った企業に委託するということが、まず基本の考えでございます。 その中で、これまで県内に立地している企業も含めて、いろいろ可能性について打診をしてまいりました。県内企業に行って、県内企業のことを承知されている企業、あるいは都市部に非常にネットワークを持っている企業、そういった企業の中で幾つか応募したいという声もいただいておりまして、実際にこういった新しいイノベーションを開発していくというような事業に取り組まれた経験のある企業の中で、県内事情に精通している企業というものをぜひ選んでいきたいというふうに考えております。 それから、丸投げになるんではないかという御懸念については、特に、最終的に市場へ通用するような製品開発につなげていきたいという思いが強くあります。そういった市場性を見きわめた上で最終製品につながる絞り込みなど、そういったところの精査、そういったところから伴走支援、チームを組むときのアドバイス、そういったものを期待しておるわけですけれども、物すごく可能性の高い案件、20件程度を集中的にやっていただく。全体の運営とともに、開発案件20件程度に絞っていただく。それから、その次のレベルの案件については、もちろん産業創造課も、それから各部局の人間も伴走支援に、一緒に動くことで連携をとりながらやってまいります。そして、トータルの司令塔機能は、当然商工労働部の産業創造課が受け持ってまいります。 ◆7番(土居央君) ありがとうございました。よくわかりました。 時間ありますので、1点、産業振興推進部長に答えていただきましたデュアラーのところです。後押しする意味で少し意見を申し上げたいんですが、リクルートによりますデュアルライフに関する意識・実態調査2018というのが、これに基づいて2019年のトレンド予測ということで出てきたわけですけれども、この調査が、全国の20代から60代の男女5万人に調査をしております。 これは、相当信憑性が高いデータになるんだろうと思うんです。これで、既に実践している人の割合が1.3%でございますが、今準備をしている人、今後したいと考えている人、興味がある人、これらを合わせたデュアルライフ意向者は14%ということになっています。これを推定値として人口換算しますと、全国に100万人の実践者がいて、1,100万人の意向者がいるということになります。また、実践者への調査からの推計では、毎年毎年17万人前後、新たにデュアルライフを始めている人がいるということでございますので、こういうことからも、今後、デュアラーと言われるような人々がふえる可能性は大いにありそうに思っています。 御承知のとおり、移住には、仕事、教育、居住、コミュニティーと、さまざまな不安要素がありまして、そのことがなかなか決断できないということの原因になっているんだろうと思うんですけれども、このデュアラーを調査していく中で、実践者の方のインターネット、ブログだったと思うんですけれど、いきなり移住、定住しませんかというふうなアプローチをされるよりも、一旦、二拠点生活をしてみませんかというようなアピールの仕方を変えるということで、随分とハードルが下がるんだというような意見を見ました。まさにそのとおりじゃないかと思っております。 こういった意向者の皆さんにうまくアプローチできて、第2の生活拠点として高知県の魅力を伝えることができれば、もっと一段、移住政策にも厚みが出てくるんじゃないかと思います。 あと最後に、青年団に関しても、知事と教育長から御答弁いただきまして、すごく期待をしていただいているなということが伝わりました。御答弁を聞いたら、青年団の団員の皆さんも随分元気が出るんではないかと思います。活躍の場は年々広がっております。出会いから、防災から、教育からですね。 こういった皆さんが、やる気がしっかりと発揮できるような後押しを行政としてもお願いいたしまして、私からの全質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(桑名龍吾君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明5日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時散会...